いつから帰還は「義務」になったのだろうか。
そもそも何を「復興」したいのだろうか。
「ふるさとを捨てるというのは簡単だが、戻ってとにかく頑張っていくんだという気持ちをしっかり持ってもらいたい。」
NHKニュース「帰還困難区域 復興相"帰還しやすい環境整備を急ぐ"」(2017年3月12日 11時56分)リンク切れはこちらを-> アーカイブ
今日のNHK日曜討論での今村復興大臣の発言だそうだ。
いつから帰還は「義務」になったのだろうか。
そもそも何を「復興」したいのだろうか。
「ふるさとを捨てるというのは簡単だが、戻ってとにかく頑張っていくんだという気持ちをしっかり持ってもらいたい。」
NHKニュース「帰還困難区域 復興相"帰還しやすい環境整備を急ぐ"」(2017年3月12日 11時56分)リンク切れはこちらを-> アーカイブ
今日のNHK日曜討論での今村復興大臣の発言だそうだ。
2年半ぶりの更新。
今日、TL上で佐々木俊尚さんのこのツイートが話題になっていた。
原発の安全神話を生みだしたのは電力会社と政府だけではなく、ゼロリスクを求めた市民の側にも責任があるということを自覚しましょう。![]()
これについて、tweetしたのをもとにFacebookに書きなぐったのを、こちらにも転記しておく。
ここで佐々木さんが言ってるような「市民がゼロリスクを求めたのも安全神話が生み出された一因」みたいなのを見かけたら、まず考えなければならないのは、そういう見方は、「市民はゼロリスクを求めている」という専門家等が抱く根拠レスな信念(=「ゼロリスク神話」)である可能性だ。
たとえば原発反対・脱原発派が実際に求めてきたのは「ゼロリスク」ではないだろう。それはあくまで表面的な見かけで、主張の本義は「一発過酷事故が起きたら大変な被害が出るようなもの(ゼロリスクにできない限りは容認できないようなもの)は要らん」ということであり、ゼロリスクが達成不可能なのは大前提である。
それに対して「ゼロリスク(絶対安全)」を装ってきたのが、とくに1990年代半ばまでの政府や電力会社の立場だ。
超々久々のブログ更新。
岩波書店の許諾を得て、「科学的助言」に関する拙論を公開いたします。
平川秀幸 「科学的助言のパラダイム・シフト──責任あるイノベーション,ポスト・ノーマルサイエンス,エコシステム」,『科学』2014年2月号(Vol.84 No.2,特集「科学的助言:科学と行政のあいだ」),195-201頁.
ポイントは、これからの政策形成における「科学的助言」は、次の3つの要件を満たすべきだということにあります。
1.「責任あるイノベーション(Responsible Innovation)」への拡張
イノベーションがもたらす負のインパクトを考慮したり、正のインパクトにしても、それは誰にとってどういう意味があるのか、負の外部性は存在しないか、それを目指すことにはどれだけの社会的正統性があるか、また、科学技術や関連する政策が取り組むべき社会的課題やニーズは何かなどを、科学者・技術者、政策決定者、企業だけでなく、多様なアクター/ステークホルダーとのコミュニケーションや、インパクトについての人文・社会科学も交えた予見的・探索的な調査・分析を通じて行うのが「責任あるイノベーション(Responsible Innovation)」または「責任ある研究・イノベーション(Responsible Research and Innovation: RRI)」と近年呼ばれているもの。政策に助言する科学的助言は、単なる科学技術振興ほ超えて、こうした社会的で反省的(reflexive)な視野の中に位置づけられなければならない。
参考: Jack Stilgoe, Richard Owen, Phil Macnaghten. "Developing a framework for responsible innovation", Research Policy, Volume 42, Issue 9, November 2013, Pages 1568-1580.
2.「実証主義」から「ポスト・ノーマルサイエンス」へ
科学的助言が、現実の問題処理に有効に働くためには、①科学による事実の認識は、社会や政治の利害関係や価値判断とは独立して価値中立的に行うことができ、②政治的な意思決定や合意は、そのような科学的事実に関する客観的で確実な知識によって可能になるといった、およそ空想的な「実証主義的」科学観を超えて、科学知の不確実性や価値対立の問題を視野に入れた「ポスト・ノーマルサイエンス」の科学観と方法論に依拠する必要がある。
3.「英雄モデル」から「エコシステムモデル」へ
科学的助言にはしばしば、傑出した専門性と学識、公明正大、中立公正な人柄など卓越した個人的資質によって科学的助言の有効性と信頼性が担保されるといった「英雄モデル」(あるいは「達人モデル」と呼んでもいいかもしれない)が付きまとう。しかしそれは非現実的であり、組織的対応や、さらには社会全体として、科学的情報について独立の組織や個人が相互に検証しあう「エコシステム」が必要である。
参考:R. Doubleday and J. Wilsdon (eds.) Future Directions for Scientific Advice in Whitehall (PDF), CSaP/Alliance for Useful Evidence, 2013.
現在、日本でも「主席科学顧問」や「総合科学技術会議の司令塔機能強化」というかたちで科学的助言の整備・強化が進められようとしているのだけれど、果たしてそれは、ここに挙げたような方向性を向いているのかどうか、大いに要注目です。
あとは本文を読んでいただければ。
◆あわせて読みたい◆
同じ号に掲載の尾内隆之さん(政治学)の御論考。
尾内隆之「『科学的助言』の政治学」,『科学』2014年2月号,pp185-190
久々の更新ですが、ネタはエンタメ。
制作発表された一年前からずっと楽しみにしていた『るろうに剣心』映画版、公開初日の昨日、夫婦で行ってみた。
感想は・・・一言でいえば「リアル神速」。
「神速」とは、るろ剣ファンにはいわずと知れた、剣心の流派、飛天御剣流の技のあまりの速度を表す言葉。
なんというか、こちらの動体視力を試される映画と言いますか。
それほど殺陣シーンは圧巻。
佐藤健が剣心役を務めるがゆえ、昨年キャスト発表があった段階から期待していた通りというか、それ以上の出来。
オープニングの鳥羽伏見の戦い、神谷道場を襲った武田観柳の手下たちを平伏した闘い、警察署での斎藤一との格闘、観柳邸の私兵250人との乱闘戦、外院との一騎打ち、そして薫の命と不殺の誓いを天秤に賭けての鵜堂刃衛との決戦。佐藤君の身体能力の高さ、キレの良さは『電王』でも垣間見れてたのだけど、ここまで凄いとは。剣心のアクションはほとんどスタントなしだそうだ。ワイヤーワークは入ってるけど、CGはゼロ、早回しも無いそうだ(※)。まさにリアル神速。
※ 参考: 大友監督インタヴュー1; 大友監督インタヴュー2
もちろん外院役の綾野剛も良かったし、刃衛役=もう一人の主役の吉川晃司も凄い。狂剣をふるう刃衛としての「壊れっぷり」も良いが、あの身のこなしは同世代とはとても思えん(クソォ)。仮面ライダー・スカルのときを遥かに超えるインパクト。ちなみに、この記事によれば、最後の剣心vs刃衛戦は一度の撮影でOK出たとか。また、大友啓史監督は「(一連の動きを中断せず)流れで撮ることを好む方。今回のアクションでも400メートル走を連続何回も走らされる感じでした」(佐藤)だという。佐藤君も凄いが、彼より20歳以上も年上の吉川も凄い。
アクション以外でも佐藤君の演技は静・動ともに流石であった。たとえば留置所で元・新撰組の斎藤一と十年ぶりに再会した瞬間の眼光。刃衛との死闘、「人斬り抜刀斎」に立ち返った剣心の右手と声にほとばしる殺気。そしてラストシーン。。
観柳邸での"HANDS UP"のシーンは「良太郎」(@電王)ノリで笑いを取ってたし。
全体のストーリーは、黒笠(刃衛)編と観柳編と京都編を合わせ、一部キャラクターとして人誅編が入った「リミックス」が基本。2時間14分に、6回の戦闘シーンも含めて、よくぞ詰め込んだなぁという感じではあるが、心配してたようなものでは全くなかった。物語としての一貫性、緊張感もしっかりあったし、けっこう良かったのではないだろうか。
また原作リミックスとはいえ、要所要所の名シーンや名台詞は原作に忠実で、原作からのファンには嬉しい。「剣は凶器、剣術は殺人術。どんなきれい事やお題目を口にしてもそれが事実。薫殿の言っていることは一度も己の手を汚したことがない者が言う甘っちょろい戯れ言でござるよ。けれども拙者はそんな真実よりも、薫殿の言う甘っちょろい戯れ言の方が好きでござるよ」もキタコレ感いっぱいだった。
逆に、原作リミックスであるだけに、原作読んでいないと理解するのが難しいところもけっこうあったんじゃないだろうか。たとえば抜刀斎時代の剣心の亡き妻、巴ちゃんとのことを知らないと、頬の十字傷の痛み、「不殺=逆刃刀」に至った重みは伝わりきらない。左之助と剣心の間も、原作では、維新志士に恨みをもっていた元赤報隊・左之助が、真正面からの対決を通じて剣心を理解し、惚れこむことで、恨みを乗り越え、堅いつながりが生まれたことが語られるのだが、映画ではそこはあっさり飛ばされていた。
それともそこは、「続編」で回収ないし補強されるのかな?
あともったいないと思ったのは江口洋介演じる斎藤一。原作のテイストとはちょっと違う方向だけど、江口ならではのクールさがあって◎なんだけど、今回は戦闘シーンがほとんど無かったため、原作知らない人には、ただのビッグマウスなオッサンに見えてしまったかもしれない。得意技の牙突も、江口洋介の構えはバッチリとカッコよかったのだけど、ストーリーの中では映える使われ方ではなかったのが惜しまれる(牙突は対人技です。モノ相手で終わらないように!)。冒頭の鳥羽伏見でも、抜刀斎を探してうろうろしているうちに「錦の御旗」が来てしまったし。決め台詞の「悪即斬」を言わせるのも映画的には難しかったかなぁ(原作知らないと、音だけでは意味分らんし、かといって字を見せるのは、この映画の作りではダメだろうし)。
まぁ斎藤一は原作でも京都編からのキャラだし、「圧倒的戦闘能力」を魅せるのは、次作に期待ということだろうか。
とりあえず、もう一回くらいは劇場で見てみたい気分でござる。
昨日はけっこう前の方の席で、元々神速のアクションを追うのが余計に大変だったので、次回はもっと後ろの席で。
ちなみにアクション監督を務めた谷垣健治さんがtwitter(@kenjitanigaki)で、6月21日以降、撮影の様子を呟いてます。8月25日まで限定ということですが、まだ読めます。(一部、抜粋転載されているブログ記事。)
主題歌のONE OK ROCK 「The Beginning」。
パワフルなボーカル、疾走感と重厚感あふれるサウンド。こういうのは好きである。
英歌詞と日本語歌詞のリズムの組み合わせ具合も絶妙。
超久々の更新。
Twitter friendで、ご自身も都内の市民放射能測定所でボランティアをしている@maya0520さんが作成した食品・飲料水などの放射性物質測定結果ページのまとめ。
もう一昨日になってしまいましたが、東大駒場キャンパスで開かれたシンポジウム「震災後の正義の話をしよう 〜ポスト3.11の公共哲学〜」に登壇してまいりました。
会場は盛況で、150~200人くらいはいたんじゃないだろうか。ニコ生でも同時中継されてたのだけど、そちらの累計の視聴者数(来場者数)はなんと52,713人。
「公共哲学」なんて世間的にはすんごくマイナーなはずだけど、サンデル効果なのか、それともシンポのテーマ自体に対する関心がそれだけ広まってるということなのか。
いずれにしても、来場された皆さま、視聴された皆さま、有難うございました。
以下は、自分の発表スライド(公開用に多少修正済み)。
「3.11東電原発事故が専門知に突きつけるもの―信頼の危機にどう応えるか」
平川秀幸(大阪大学CSCD准教授)
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