「科学と民主主義」ワークショップ終了

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木曜日午後1時から土曜午後1時まで、ぎっしり濃密な議論が続いたワークショップ「科学と民主主義」がようやく終了。
終了後は、一度ホテルにもどって一眠りしてから、夜8時にもう一度ハーバード界隈に戻り、パブで若手参加者9人で打ち上げの飲み会。1時近くまで飲んでからホテルに戻り、いま、風呂から上がったところ。あと4時間半後には帰国のためにホテルをチェックアウトしないといけない。
一昨年、ベルリンで開かれた第1回から3回めとなった今年は、参加者も大幅に増え(35人くらい?)、だいぶ議論の内容も進化したのを実感した。主に、というか、今年は小生以外はみんな欧州人か米国人なので、発表やディスカッションの中身のところどころに米欧間の政治文化の違いなども垣間見られて、そういうところもなかなか面白かった。
ちなみに昨日の昼は、ランチタイムミーティングで、ワークショップの主宰者Sheila Jasanoffらが、最近、イギリスのNGO、Gene Watchと共同で取り組んでいる「実験」プロジェクトTHE ACADEMIC EXPERTS BRIEF FOR THE WTO GMO DISPUTEについての報告があった。これは何かというと、世界の社会運動界で悪名高いWTO(世界貿易機関)の裁判所「紛争解決パネル」と、その法体系の一部であるSPS協定(衛生植物検疫協定)は、科学の性質について非常に非現実的な考えが支配しており、米欧間で長年の懸念事項である(欧州による)遺伝子組換え作物輸入禁止問題についても、的外れで、欧州にとって不公正な判断が下されてしまう恐れがあるので、利害関係をもたない法廷の第三者”amicus curiae”(法廷の友)であり、科学技術論の専門家として、WTOに進言し、事態を改善しようというもの。ある種の「社会実験」であるわけだが、その対象がWTOってあたりがさすがというか、聞いてるこっちもそのスケールの大きさにワクワクしてしまった。まぁ、ハーバードの行政学大学院教授ということだと、ある意味普通のことなんだろうけど。学部の後輩で、ILOからここの社会学の大学院に留学していた友人も、在学中に、政府の途上国開発援助に直結するプロジェクトにかかわったことがあるといっていたし、まぁ、ハーバードとは、アメリカにとっても世界にとってもそういう中心的知的資源なんだなというのを目の当たりにできたわけだ。(ちなみにWTOの科学観がヘンだぞ、という話は、小生も去年、日本政治学会で報告したことがある。)
さて、そろそろ出発まで4時間になった。帰りの便は気流の関係で、ワシントン・成田間がなんと14時間もかかるので、機内でたっぷり寝られるだろうけど、いちおう少し寝ておこう。。

 

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2件のコメント

  1. てるてるさんお久しぶりです。
    貴重なリンク集を作ってくださり、感謝いたします。

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