工学系女子学生を増やす方法(?)、それと「国境なき技師団」

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来日中のイギリス人の友人から聞いた話。
彼がいるブリストル大学では、工学部で、途上国支援のための現地実習も含めた「開発と工学」というコースを設けたところ、女子学生の比率が増えたのだという。
「自分が身につけた知識とスキルで困っている人たちを手助けしたい!」という意識が強い女子学生にアピールできたらしく、女子学生比率を上げたい他大学でも追従する動きがあるそうな。
反対に、大多数の男子学生の意識は、理系オタク的というか、そういう社会貢献的なことには向いていないらしい。
日本でも、理系の女子学生比率を上げるために、科学や工学の研究そのものの「面白さ」「楽しさ」を中高生にアピールする活動がいろいろ行われてるけど、こういう社会貢献意識に訴えるアプローチは、どれくらいとられてるんだろう?
いいかえると、科学技術の古典的な魅力に加えて、社会に貢献できること、直接自分が誰かの役に立てることの喜びとか楽しさという魅力は、どれだけ重視されてるんだろう?
ちなみに何年か前、帯広畜産大学の方から聞いた話では、同大で現地実習も含めた国際協力のコースを設けたところ、集まった学生のほとんどが女子学生だったそうだ。
たぶん、男子は農家の長男で家を継がなきゃいけないとか、一般的にも、そんなことしてちゃんと就職できるかわからないとか、保守的な意識が強いのかもしれない。


それともう一つ、ブリストル大の友人から聞いて初めて知ったこと。
 国境なき技師団 Engineers Without Boarders (EWB)

という存在。
国境なき医師団(M醇Pdecins Sans Fronti醇Qres: MSF)というのは、もちろん知っていたけど、こちらのほうはまったく知らなかった。
MSFと同じようにEWBも、途上国の持続可能な開発の支援や災害援助などを工学的なアプローチで行う技術者たちの集団。ただし、MSFが、フランスの組織を出発点に全世界に広がったのとは違って、EWBは、各国で自発的に誕生し、それが国際的にネットワーク化してきたらしい。国際組織としては、
 Engineers Without Borders – International
がある。また、多くの組織が、学生主導で運営されてるそうで、英国のEWB-UKに属するブリストル大のEWB Bristolもその一例。
友人が所属する同大のCentre for Public Engagementがまとめている“Public Engagement Stories”のコーナーには、中心メンバーの女子学生Haylay Sharpさんの話が掲載されている。
ちなみにEWB-UKのサイトによると、全英で32校に支部があり、オックスフォード大やケンブリッジ大にもある。アメリカのEWB-USAでは、ハーヴァード大やMITも含まれている。
他方、日本はどうか。日本にもちゃんとNPO法人国境なき技師団がある。
早稲田大学理工学術院の濱田政則教授(地震工学)らのイニシアティブでつくられたもので、自然災害からの防災・復興を主な活動領域にしているらしい。
まだ設立されて4~5年ということもあってか、大学単位での支部はないみたい。
うちの大学(阪大)なら、GLOCOL(グローバルコラボレーションセンター)とか、国際公共政策研究科もあるから、工学部や基礎工学部との連携で、EWBがつくられても面白そうなんだが。(もう、その動きがあったりするのかな?)

 

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