やはり二人とも死亡か?―再び脊髄反射的自己責任論騒ぎになるのだろうか?

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夕方の時点では、病院に収容された遺体の二人が橋田さんと小川さんだと見られていたが、その後、「小川さんは車から脱出したのを見た」という運転手(?)の証言など出てきて、一瞬「もしかして」と期待ももちあがったが、やはり現実は最悪である可能性が高まってきた。

襲撃された3人の遺体確認 邦人記者の身元特定急ぐ
バグダッド近郊で現地時間27日夕、日本人フリージャーナリストの橋田信介さん(61)=バンコク在住=と小川功太郎さん(33)=山口県宇部市出身=の2人が乗った車が銃撃されて炎上した事件で、バグダッドの日本大使館関係者が28日朝、現場近くの病院に運び込まれた2遺体を確認。外務省は橋田さんと、同行していたイラク人通訳とみている。また、同日午後、別の場所でもう1人の遺体が見つかり、同大使館員が確認したところ、小川さんの可能性が高いとわかった。2人の死亡が確認されれば、昨年12月に自衛隊のイラク派遣が始まって以来初めての邦人犠牲者となる。


またこれより少し前のニュースでは、小川さんと見られる遺体を発見した地元警察の話として、「短パンを身につけており、みけんに銃で撃たれた跡がある。襲撃を受けた時は負傷しただけだったが、その後、襲撃者たちに連行され、殺害されたように見える」と伝えられている。そうだとすれば、日本人だとわざわざ確認した上で殺害した可能性が高い。
また産経は、記事「火噴く銃口、炎上する車両 イラク人運転手が証言」で、運転手の証言に基づく事件の経緯を説明しているが、そのなかで「犯人らは、現場に戻った際、私のことを「米国の手先」と吐き捨てるように言った」という運転手の言葉を伝えている。このような犯行の第一の罪、責任は当然ながら犯人にあるとしても、背景としては、橋田さんと小川さんは米国の誤った政策の犠牲になったということもできるだろう。またそこには、いくら「人道支援」と政府が強弁しようとも、イラクの抵抗勢力側から見れば、日本はアメリカの仲間――実際、自衛隊は兵士の輸送など米軍の後方支援をしているわけだし――にしか見えないという現実もある。
そうなってくると、当然ながら自衛隊派遣や米国支持の日本政府の政策の問題が持ち上がってくるのは間違いないが、それとともに、脊髄反射的な「自己責任論」が与党議員や「世論」からわき上がってくる恐れもある。
実際、 今日午後に産経の記事「『陸自活動に影響なし』 防衛庁長官が言明 2邦人銃撃」によれば、自民党の川崎二郎国対筆頭副委員長が28日午前の記者会見で「まことに残念だ。人質事件の反省も含め、自己責任、自分の身の安全をよく考えてほしい。どうぞ退去してくださいと申し上げざるを得ない」と述べたそうだ。
ちなみに、このような脊髄反射的な自己防衛レトリックでしかない「自己責任論」は、実は自己責任概念を誤解したものでもある。さきほど朝ナマで宮台真司が指摘していたが、本来、自己責任というのは自己決定に付随するものとしてあるわけだが、上のような言い方は「自己責任だから行くな」という自己決定の否定になっているからだ。これが逆に、「政府は避難勧告を出してきた。あとは自己責任でどうぞ」というのなら正しいのだが、もちろんその場合でも、誘拐されたりすれば、国家として――政府としてどこまでできるか、どこまでするかは別として――邦人救出を行う義務があるのはいうまでもない。
そんな論理も道理もない大脳皮質使用率ゼロの自己責任論騒動で、橋田さんたちの死の重みがかき消されてしまうかと思うと、暗澹としてくるな。。
あるいは「犯人憎し」から飛躍して「イラク憎し」の世論が高まってしまい、そもそもの米国と、それを支持した日本の問題がかき消されてしまうかもしれない。それもまた陰鬱な結末だ。
ずっと戦場の人たちを取材し続け、米軍の攻撃で失明した子供を助けるために今回イラク入りしていた気骨のジャーナリスト橋田さん、そして叔父でもあった彼にあこがれ、NHK記者からフリーになったばかりで志半ばというにはあまりに早く逝かれた小川さん。最期の瞬間に去来した想いは何だっただろう。
一読者、視聴者として、敬愛を込めて、心よりご冥福をお祈りします。

 

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