著作権をめぐるヤバイはなし―Winnyと輸入CD

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先日、Winny制作者タイホのエントリーで、東浩紀さんから聞いた「著作権問題としてのこの逮捕の問題性」についてふれた。その東さんが自身のブログでそのことについて書いているので、リンクしておく。

東浩紀hirokiazuma.com/blogより:
Winny開発者逮捕
Winny開発者逮捕2


「関連HP運営者宅を捜索、ページは閉鎖」なんていうところまで来ると、「立川自衛隊基地監視テント村」事件――自衛隊宿舎にイラク派兵ビラを配った反戦運動家3名が逮捕・拘留された事件で、他にもピザ屋とか商業チラシを入れている者がたくさんいるにもかかわらず彼らだけが逮捕されているが故に、運動側からは不当逮捕と認識され、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは3名を「良心の囚人」と認定している――とはちょっとタイプが違うかもしれんが、「ダンアツ」に近くなってくるぞ。とくに関連HP運営者については、同じようにWinnyの解説記事書いたりしてた出版社やライターまで捜索するのか?しないとすれば、その区別は何だ?(紙媒体よりもネット媒体のほうが影響力が大きいとか?)そもそも、これってちゃんと立件して公判維持できるのだろうか、法理として?(裁判官が問題の本質もコンテクストも読めず、立件・維持できちゃいそうでコワイ。。)
なお、いまのところマスコミではWinnyの違法性に焦点が当たったような報道がほとんどだが、国際大学GLOCOMの石橋啓一郎氏が、Winnyの功績について整理しているというのが、東さんのブログで紹介されてたので、ここでもリンクしておく。

winnyを肯定的に議論する

 
これにも紹介されているWinny作者「47氏」の2ちゃんへの以下のカキコミ(2002年4月30日)をもって、警察は「違法性の認識があった」としているみたいだが、果たして「著作権概念の変革をせまる」ことを「著作権法を破る」ことと同一視していいのだろうか?「(改善が必要な)悪法も法なり」という考え方もあるかもしれないが、他の同型の問題――たとえば公民権運動とかね――ともからめて、法的議論を超えて、技術進歩・社会変革と社会制度の衝突/共進化の問題系としての分析・評価が必要じゃないだろうか。

「まぁ、そろそろ匿名性を実現できるファイル共有ソフトが出てきて現在の著作権に関する概念を変えざるを得なくなるはず、あとは純粋に技術力の問題であって何れ誰かがその流れをブレイクさせるだろうとは思ってたんで、だったら試しに自分でその流れを後押ししてみようってところでしょうか。
純粋に暇つぶしの腕試しです。
私なんてたいしたこと無くて、この程度作れる人は日本人でもかなりいるはずですが、実際に表にブツを出す人少ないんで、こういう方面でも日本人にがんばって欲しいというのもあります。」

それと、これも、10日の研究会の後の飲み会で東さんから聞いていたのだが、現在国会で審議中の著作権法改正で、輸入CDが買えなくなるかもしれない――たとえば国内で買うよりずっと安く買えるAmazon.comで買うのが違法になる――という話もスゴイ。こちらも、消費者の利益を軽視した話のような気がする。ITmediaが連載記事で論じている。

連載第1回: あらゆる輸入音楽CDに規制を?――危険な著作権法改正が進行中
連載第2回: 輸入音楽CDは買えなくなるのか?「副作用」は覚悟していた
      ――文化庁に聞く著作権法改正の舞台裏

追記:授業終わって戻ってきたら、朝日新聞の次の記事を発見。

輸入CD規制に反対の声明 法改正の動きに音楽評論家ら
著作権法改定による輸入CD規制に反対する音楽メディア関係者の代表は13日、文部科学省記者クラブで法案に反対する声明を発表した。声明の賛同者は音楽評論家、音楽雑誌編集者、坂本龍一さんやあがた森魚さんを始めとするミュージシャンら約600人。

「規制されれば日本の音楽ファン=消費者に多大な不利益を与え、音楽文化や音楽産業を衰退させると訴えた」とも書かれているように、一見著作権保護で得するように見えるアーティスト自らが批判に回っているところに、この法案が持つ「消費者軽視」の姿勢がよく現れているといえるかもしれない。
ついでに言うと、新聞社の記事の著作権制度(というか運用?)もなんとか改善して欲しい。少なくともblogのようにpermalinkにして、半永久的もしくは数年にわたって、いつでもリンクで飛べるようにしておいて欲しいな。いまやウェブ上でリンクされた新聞記事は重要な公共的情報資源と見なすべきなんじゃないか?もちろんすべての記事を公開したままにするのは、サーバー容量とかの関係で無理があるにしても、たとえば記事にリンクが張るとpingを飛ばせたり、あるいはリンク先からのアクセス(これはアクセス解析でrefererをチェックすればわかる)でリンク数やアクセス数を数えるなど、何らかの技術的措置――重要度の測定にGoogleの機能を使うという手もある――で、その記事の重要度を測って、ある程度高いものを残し、あとは有料でもいいからアーカイヴ送りにするという具合にできないだろうか?

 

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