3日間のScience and Democracy Network (SDN) ワークショップも終了、明朝はもう日本に帰国。
朝10時からスタートした2日目は、午前、午後に一つずつのセッション。午前中は、今回、楽しみにしていたものの一つ、若手のRobert Doubleday氏によるナノテクノロジーの社会的次元(政治的・経済的・文化的・倫理的問題の次元)に関する報告があった。Robは、現在、ポスドクとしてInterdisciplinary Research Collaboration (IRC) in Nanotechnologyで、学際的共同研究としてのナノテクの社会的次元に関する研究をしている。報告は、ナノテクという今後社会に大きな影響をもたらすことが見込まれている新技術に関する理工系研究者との共同研究を行う際にSTS研究者が果たすべき役割に関するもの。
その中で特に面白かったのは、STS研究者(社会科学者)とナノテクの理工系研究者との「分業」のあり方を考えさせるエピソード。研究所の理工系の院生との次の会話がそれだ。
院生: それで、一般市民に対して君は、ナノテクについてどんなことを伝えるんだい?
Rob: そうだねー、実は、ナノテクについて僕が考えていることを伝えようとは思ってないんだ。でも、君が一般市民に対して喋るのを助けることはできるよ。
この背景には、「ナノテクの社会的次元の問題を考えるのは社会科学者であり、理工系の研究者はナノテクの技術的な内容や応用について考えているだけでいい」という理工系研究者の住み分け的・排他的な分業意識がある。
これに対しRobは、分業は分業でも、もっとインタラクティヴな分業を通じて、理工系の研究者自身も自分がやってる研究の社会的側面の問題について思いをめぐらし、考えられるよう手伝うことがわれわれSTS研究者の役割の一つだといってるわけだ。
ちなみに排他的な分業意識というのは、日本でもしょっちゅうぶつかる壁だったりする。来年度からスタートする第三次科学技術基本計画で進行される予定の「科学/技術コミュニケーターの育成」というのも、下手すると(というか、ほっておくと確実に)そういう意識のもとで進められてしまうだろう。時には、性別分業まで重なってきて、「僕は研究開発する人、君(女性)はコミュニケーションする人」なんてことを考えてる人も少なくない。そういう分業意識を少しでもなくして、専門をやりながらも、社会的問題に対する「センス」ももった専門家を育てること。これが阪大コミュニケーションデザイン・センターの中心的な教育目標だったりする。
さて、二日目午後のセッション終了後は、ワークショップ主宰者のSheila Jasanoffの新著Designs On Nature: Science And Democracy In Europe And The United Statesのお披露目会。その後は、6時過ぎまで、会場だった会議室の外のフロアでワインとチーズで軽いレセプション。
それが終わってからは、まずSheilaの新著を買うために、ハーバード生協(Harvard Coop)へ。しかし「さっき売り切れた」(つまりワークショップの他の参加者がすでに買いに来てた)ということで、仕方なく、もう一軒、近くのHarvard Book Shopに行き、そこで買うことができた。
その後は、8時半から、若手を中心にしたメンバーでアフガン料理を食べに行く。閉店となる11時まで飲んで、歩いてホテルに戻った。
明けて最終日の今日は、10時から2時間半ほど、今後のSDNの運営についてのミーティング。そのなかで、ウェブサイト充実のための委員会が作られることになり、非欧米圏代表ということで、小生もメンバーに加わることになった。
1時頃にワークショップが終わり、その後は軽く昼食を済ませた後、一度ホテルに戻り、同行のS氏とともにCopley Palaceに土産の買い物に行った。その後もう一度ホテルで一休みした後、8時過ぎに、ボストン滞在の楽しみに一つであるイタリア人街での夕食へ。二年前に来たときに飛び込みで入って、とても美味しかった印象のあったVilla Francescaで、たっぷり食べて大満足して帰ってきた。
もう満腹でしんどかったので、帰りはタクシーで帰ってきたのだが、その運転手の話がなかなかすごかった。「韓国から来たのかい?」、「いや、日本だよ」、「おぉー、30年前に11時間だけ滞在したことがあるよ。成田の神社に行ったりしたよ」なんてたわいもない話から始まったのだが、「どうして行ったの?」と聞いたあたりから、話が熱くなってきた。なんでも彼は、化学技術者として、当時、シューズメーカー「オニヅカ・タイガー」で働き、特許も23個もとってたのだそうだ。ところがあるとき、突如解雇されてしまい、しがないタクシードライバーになってしまったのだという。そんなこともあって、労働者を大切にしない企業の不道徳をすごく非難していた(最初はタイガーではなく、ナイキのひどさをののしっていた)。で、そのなかで飛び出したのが「まるでディック・チェイニー(米副大統領)のようだ」という台詞。「チェイニーもブッシュも石油のことしか考えちゃいない。イラクもアフガニスタンもみんなそうだ。兵士たちが何百人も手足を失ったり死んだりしても、やつらは全然気にかけない。石油のことしか頭にない。ガソリンの値段だって3倍になっちまった。商売あがったりさ。温暖化問題だって、アメリカ以外の世界はみんな深刻に考えてるのに、やつらのせいでこの国の国民は、何も知らない。外国に行かないとわからない。このまま放っておいたら、次(の戦争)はナイジェリアさ。」・・・ホテルまでの10数分の間彼は、時には車の天井にこぶしをぶつけながら喋り続けていた。(もちろんわれわれもまったく同感なので、一緒に盛り上がっていた。)
ホテルに帰ってテレビをつけると、CNNで温暖化問題の深刻さを伝える特集をやっていた。ブッシュを今なお支持し続ける過半数のアメリカ人は、こういうのを観てどう思うんだろう。今日もボストンはめちゃくちゃ暑かったのだが。
さて、明日はいよいよ帰国。朝9:05発の国内線でまずはシカゴへ。そこで12時発の便に乗り換えて、関空に向けて13時間半の旅。今回は帰国便もアップグレードしたからいいけど、疲れそうだなぁ。。
クロイツフェルト・ヤコブ病のウイルス仮説?レビュー
BSEの原因がナノ粒子という説です。二つがくっつきますね
先生(^о^)オ(^。^)ツ(^◯^)カ(^о^)レ様です☆<BR>
タクシーの運転手さんと議論おもしろかったです☆<BR>
あと議論できるほど英語が話せるのがうらやましくってたまりませ~ん!!TOEICやTOEFL対策で筆記、リスニングは心がけてるんですが、やはり実践がままならず・・・・・会話能力は旅行レベル程度になってしまってます<BR>また楽しいお話ゼミで聞かせてください~☆ではではおじゃましました☆☆
タクシーでは、運転手さんがほとんど一方的に喋ってたんで、「議論」なんてもんじゃありませんでした。
>やはり実践がままならず・・・・・
じゃあ、ゼミ、英語でやろうか( ̄ー ̄)ニヤリッ