流星群

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今日あたりはオリオン座流星群が見頃だそうで。
ハレー彗星がその軌道上にまきちらしたチリがもとで、いま地球がその真っ只中に飛び込んでいるという状態。2006年から活発化しているのだそうだ。
ところでぼくは、小学2年から高校卒業まではバリバリの天文少年だった。
小2の秋、ちょうど今くらいの時期に、親父に夜中に起こされて見上げた夜空があんまりにもきれいで、それに魅せられ、一夜のうちに天文少年になってしまったのが始まり。
その後は、家にあった百科事典や、図書館で借りてきた天文の本を読み漁りつつ、当時の担任の先生に紹介してもらった「天文教室」にも参加。これ、市内の天文サークルや理科の先生が市立図書館で毎月一回開いてたもので、実は中学生以上向けだったんだけど、その内容がとっても面白くって、高校卒業まで皆勤してしまった。高校になってからは、サークルの正式メンバーとなり、講師役もやったりするなど、とにかく天文にはまりまくっていたあの頃。


で、その高校時代に、音楽部でバンドをやりつつ所属していた天体気象部で、一番楽しかった活動として思い出に残ってるのが「流星観測」。校庭または校舎の屋上で、みんなで輪を描くように寝袋にくるまり、それぞれが担当する空の方角を向いて、じっと星が降るのを待つ。星が流れれば、「おうし座から大犬座、3等級」というように、流星の光り始めた位置と消えた位置、そして明るさを記録係に伝える。
もちろんその間、じっと黙ってるわけじゃなく、あれやこれや、いろいろおしゃべり。(たとえば、女の子のこととか、女の子のこととか、女の子のこととか。←男子高生の脳内はだいたいこれで埋まっている。)ときどき交代で、部室だった理科室に戻り、夜食を食べたり、麻雀で時間をつぶしたり。流星そのものよりは、そういう「時間」を仲間と過ごすことが何より楽しかった。
そんな思い出の中で、とくに強く印象に残っているのは二つ。
一つは、しぶんぎ座流星群の観測。これは、毎年1月3日~4日に極大となるため、観測はかなり寒い中で行われる。ダウンジャケットなど、しっかり厚着した上に寝袋、その中にはカイロをつめて、さらには体の中にも燃料(アルコール)を入れて、と入念な防寒体制がしかれていた。
そうやってずっと朝方まで観測を続けるんだけど、一度、そのまま寝落ちしてしまったときがあって、目が覚めたら、寝袋に霜が降りてて。。顔にも降りてたような気がするんだけど、それは定かではない。まぁ、北関東(群馬の平野部)だから、そんなに極端に寒いわけではないので、凍死するなんてことはないんだけど、かなり焦ったのを憶えてる。(そういえば、流星が自分のほうに真っ直ぐ飛んでくるがゆえに止まっているように見える「静止流星」を見たのもしぶんぎ座流星群だった。)
ちなみに同じ寝落ちでも、お盆の頃にピークを迎えるペルセウス座流星群の観測のときは、別の意味で大変。朝、真夏の太陽にジリジリ照らされ、汗だくになって目が覚めるうえに、蚊にもあちこち喰われてもう大変。
もう一つよく憶えているのは「波動砲」。たぶん、しし座流星群(11月中旬)のときだったと思うけど、そのときは屋上で観測してて、近くの女子高――群馬はいまだに公立高校のうち伝統校は男女別学なのだ――がよく見えるポジションだった。(両校の校舎は500mしか離れていない。)
そんな絶好のシチュエーションで思いついたのが波動砲。元ネタが宇宙戦艦ヤマトのあれであることはいわずもがなだけど、その真似事を望遠鏡とカメラのフラッシュでやってみたのだ。うちの天体気象部には写真部と兼部している部員が多かったから、フラッシュはかなりパワーのあるやつが揃っていた。それを、望遠鏡の接眼部(覗き込むところ)にセットし、「砲口」を女子高の校舎に向ける。ファインダーで覗くと、あちらの校舎の屋上には、女子高の天文部が、ぼくらと同じく流星観測をしているのが見えた。
それを確認して、秒読みスタート。「エネルギー充填150%、波動砲発射10秒前、対ショック・対閃光防御用意、5, 4, 3, 2, 1, 発射ー!」接眼部を調整して焦点を合わせれば、閃光は広がらずに平行光線となって闇を切り裂いていく。
すると、女子高の校舎の壁が、屋上を中心にパッと明るくなるのがファインダーから見える。さらには、突然の光に慌てふためく女子高天文部員たちの姿も。これを5回くらい繰り返した。
後日、女子高天文部と観測データの集約のためミーティングをやったとき、この「謎の閃光」について話を振ってみたところ、女子高部員たちは、皆目その正体がわからなかったそうだ。確かに、うちの高校のあたりが光ったのはわかったけど、まさかそれが、ぼくらによるイタズラだったとは思いもよらなかったと。
ちなみに種明かしをしたあと、ぼくらがどうなったかまでは憶えていない。
ちょうどマンション5階のうちの部屋からはオリオン座が見えている。その流星群のニュースに、ふと20ウン年前のことを思い出してしまった秋の夜。

 

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1件のコメント

  1. その何年か後に、部の活動をされていたその教室を何度も訪れた者です。
    そんな男子校ならではの自由な雰囲気、目に浮かぶようですね。
    校風によっていろいろなのでしょうが、私の通っていた学校では、深夜の観測等、許可が出ることが少なくて非常に苦労した思い出ばかりです。
    本文中に出てくる学校に該当しなくて非常に残念です(笑)

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