気になるニュース

投稿者:

今日のニュース。理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸)のプレスリリースより。

ヒトES細胞から層構造を持った大脳皮質組織の産生に成功- 次世代の幹細胞医学応用を大きく拓く組織形成技術 –
・・・研究グループはこれまでに、マウスやヒトのES細胞から中枢神経系の神経細胞などを試験管内で分化させることに成功してきましたが、神経細胞が整然と集合して機能する「神経組織」を産生できていませんでした。そこで、すでに開発していた無血清浮遊培養法を改良した新たな培養法「SFEBq法」を考案し、ES細胞から従来の倍となる7割の効率で大脳皮質前駆細胞の分化誘導を可能にしました。この前駆細胞を3次元で浮遊培養し続けると、大脳皮質特有の層構造を形成しました。ヒトのES細胞から分化させた大脳皮質特有の組織は、ヒト胎児の大脳皮質とよく似た4層構造を自己組織化的に形成し、神経活動を自発的に行なう生理機能を持つことを確かめました。また、シグナル因子を加えることで、大脳皮質組織を領域ごとに選択的に分化誘導することも見いだしました。・・・

プレスリリースは、「この成功で、組織を使った次世代の再生医療や創薬開発などが大きく前進すると期待されます」と結ばれてるんだけど、SF的な想像力で考えちゃうと、これってかなり倫理的にヤバイ問題を孕んでるんじゃないかと思えてしまった。


なにしろ、「神経活動を自発的に行なう生理機能」 を持つ「ヒト胎児の大脳皮質とよく似た4層構造を自己組織化的に形成」しちゃったわけだ。それって、まさに「ヒト胎児の大脳皮質」ができちゃったってことじゃないのだろうか。
まぁ大脳皮質だけだから、間脳とか他の部分はないので、ヒト胎児の脳がそのまんまできちゃったわけじゃないにしろ、「自発的な神経活動」とかいわれてしまうと、それをもっと成長させたら、ある種の「精神」なり「意識」をもった「人」の脳になってしまわないかとか、かつてのルパンIII世の映画に出てきた培養液に浮かぶ巨大な脳だけの敵キャラ「マモー」をどうしても連想してしまう。
将来、実際に再生医療に使うときは、局所的な部位のみが形成されるように分化誘導して、完全な脳のセットができないようにしたりするんだろうけど、「人格の神経生理学的基盤とは?」とか、「そもそも『人格』って何だよ?」とか、いろいろ難問が出てきそうな気がする。そして、それらの問題を解明していくには、もしかしたら、完全な脳を形成してみないといけないのかもしれない。
ま、ただの素人の妄想ではあるけど、研究者の本音の心情としては、「作っちゃだめ」と思いつつも、「作ってみたい」という欲望は芽生えてしまうような気がするなぁ。そういう意味で、何らかの倫理的議論やルール作りはいずれ必要になるのかもしれない。
とりあえず要ウォチ。

 

1つ星 (まだ評価がありません)
読み込み中...

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください