夕方見たNHKニュースの映像で、昨日、BSE特定危険部位である背骨がみつかった牛肉ブロックが映されていた。
その後、農水省が公開した写真が、毎日新聞の記事に掲載された。右の写真はYahoo!ニュースに転載された記事からのもの。
新聞やテレビでは「脊柱が混入」とか言ってたけど、「混ざっていた」わけじゃなく、骨を外さずそのまんまパックしたものじゃん、これは。
さらによく見るとその脊柱、どうも「切断面」に見えるんだけど?溝になってるところは、脊髄が収まっていたところなんじゃないだろうか。これって要するに、汚染防止のために禁じられてる「背割り」をしているってこと???
もちろん、背割りをしていること自体は、どうやら問題ではないらしい。問題は、脊柱の中身(脊髄、脊髄液)を抜かずに背割りしてしまうことのようだ。独自に米国で現地調査をした株式会社ゼンショー(「すき家」)の「米国産牛肉に関するQ&A」(PDF147KB)では、米国の背割りについて次のように述べている。
Q8.「危険部位の完全除去」が徹底されていない、と考える理由は?
私たちが現地調査を行った工場では、一日数千頭の牛が処理されていました。一日数百頭の日本の工場と比べて、何倍もの頭数を短時間で処理するため、一頭の処理にかけられる時間も短く、流れ作業的になっています。
脊髄液の吸引など危険部位の除去作業についても、日本では牛の背中を切り裂く「背割り」の前に専用の器具で脊髄液を吸引するのに対し、アメリカでは「背割り」を行ってから吸引を行っていました。このことにより、背割りを行った際に脊髄液が飛び散り、完全な吸引がなされていませんでした。また、背割りに使用するチェーンソーの洗浄も不十分で、かえって交差汚染の恐れを大きくさせるものでした。
ここで述べられているように、アメリカでは背割り後に脊髄液を吸引するのが一般的だとすると、今回の肉を処理した会社や他の日本向け輸出許可を受けた会社も、そういう「危険な背割り」をしている可能性があるわけだ。もちろん、そんな杜撰な作業をしているのは、たまたまゼンショーが調査した施設だけということもあるかもしれないけど、やはりこれは、「一事が万事」、「1匹見つけたら後ろに30匹」と考えたほうがいいのだろうな。今回の肉も、骨髄液などが周りの食肉部分に飛び散って付着していないかどうか、調べたほうがいいんじゃないだろうか?
<追記06.1.24(訂正06.1.25)>
さっき見てたニュースJAPANで、アメリカでの牛の解体現場の映像が流されていたのだけど、まずチェーンソーで背割りして、それから脊髄を手で引っ張って取り除いているのがしっかり映っていた。あれでは脊髄液が枝肉に飛び散ってしまうが大丈夫なのだろうか。アメリカでも、除去後には高圧洗浄をすることになっているのだが。
この点について、厚生労働省の平成14年1月31日付け「牛の背割り前の脊髄除去等の推進について」は、背割り前除去の導入を推奨しつつも、「背割り後に脊髄を除去した場合、枝肉の高圧洗浄や背割り鋸洗浄の効果が確認された」としている。しかし、やはり背割り前除去と比べると不安が残る。そもそもアメリカの場合、その高圧洗浄自体、どれくらい十分に行っているのかが疑問。以前にここでも紹介したが、「ガイアの夜明け」が「アメリカ牛肉は大丈夫か」というタイトルで報じていたアメリカの食肉加工工場の現場映像では、解体した牛の肉に緑色の豆状の塊(実は牛の身体に細菌が入り込んでできた膿瘍)がいくつもくっついているのが映っていた。日本では、こういうのが見つかった牛は、当然廃棄するのだそうだが、その工場の元社員によると、そのまま食肉として出荷されているのだという。
疑いだすときりがないのだけど、せめて今回の肉に関しては、汚染物質が残っていないか確認すべきだろう。
おじゃましてすみません。通りがかりの者です。
アメリカでの脊髄除去について、『汚染されまくり』とのお話ですが、(私も現場を見た訳ではもちろんありませんが)確か、処理の工程で、脊髄除去の後に、高圧洗浄するというのを、かなりいろんな資料とかTV報道で見た気がします。高圧洗浄ではとても除去できない、ということなのですか?すみません。ご存じでしたら、教えて下さい。
通りすがりさん、コメントありがとうございます。
除去後の高圧洗浄については、たとえば厚生労働省の平成14年1月31日付け「牛の背割り前の脊髄除去等の推進について」で述べられているように「背割り後に脊髄を除去した場合、枝肉の高圧洗浄や背割り鋸洗浄の効果が確認された」とあるのですが、同時にさらなる予防措置として背割り前除去の導入が推奨されています。
そういう意味で「高圧洗浄ではとても除去できない」ということではないと思いますが、背割り前除去と比べると除去率は悪いということですね。
とはいえ、「汚染されまくり」という表現はいいすぎでした。訂正の上、お詫びいたします。
丁寧なご対応、ありがとうございました。