今日の午後は名古屋で研究会で、いまちょうど帰ってきたところ。
研究会の打ち上げで、9時すぎだったろうか。「出口調査で自民圧勝」というニュースを誰かが伝えた。その後、10時過ぎに携帯でニュースにアクセスしても、状況変わらず。「自民単独300オーバー」だって??
そして今帰ってきたら、すでに自民だけで270。
選挙前の世論調査は、日中、固定電話に出られる人に対象が限られていたから、勤め人の人たちの声は反映されてないから・・・と恐る恐る期待してたのだけど。。orz
日本をあきらめたい。。。あきらめられたら、どんなにラクだろうか。
でも、見方を変えれば、中長期的には、自民党支配の終焉の最終段階が始まったともいえるかも。
小泉「改革」の基本は、弱者切捨て、大企業・富裕層優遇の新自由主義と、官僚権益温存・拡大――それプラス、何の外交政治的計算のないセンチメンタルな幼児的ナショナリズム――の混成である。それは、これまでの4年間が証明している。
つまり、今回、小泉「改革」に寄せられた「期待」――有権者が寄せたのは「期待」というものとは違ったのかもしれないが――は、これからの自民党施政のなかで、確実に、次々と裏切られていくことになる。今回、郵政周りの「守旧派」は自民党から排除されたかもしれないけど、道路族とかはしっかり残ってる。排除された「守旧派」も、郵政法案が成立した後か、あるいは「公約」通り、小泉首相があと一年で辞めた後には、また自民党に戻ってくる可能性が高い。「改革の本丸」郵政民営化だって、結局は財政再建には寄与しない。政策は結局は官僚丸投げで、小泉政権、あるいは自民党に「行政改革」なんて、少なくとも10年はできるはずがない。すでに国と地方を合わせて1000兆円、GDP比率200%を越した財政赤字は、もっと増えて、4年後には1300兆くらいにはなるだろう。抜本的な行政改革・効率化をすることなく、足りない分は、サラリーマン大増税で補うってことにもなるんだろう。中高年の自殺者(すでに三万人超)はもっと増え、暖かいお父さんの手と、未来の行き場を見失ってしまう子供たちも増え続けるだろう。小泉・自民党政権への失望は必至だ。それが認知された時、そのときこそ、本格的な政権交代、政界再編がやってくる時に違いない。
ちなみに、投票日直前に発売された『文芸春秋』掲載の中西輝政氏(京大)――普段の彼の主張には首肯できないことが多々あるのだが――の論考も、日本の民主主義は、ポピュリズムの怖さ、危険、その「歴史の業火」に焼かれることを心底経験しないと、成熟に向けての歩みを始められないということを述べていたが、そのとおりだと思う。(それを経ないと、小選挙区制の政権交代機能――これは他方で今回のような結果を生むリスクを抱えているが――はうまく働かないのだろう。)
そういう意味では、今回の結果は、有権者個々人の「愚かさ」ではなく、歴史的に定められた構造的な日本社会の歴史的条件、日本人が引き受けなければならない時代の運命を指し示すものと考えるべきなのだろう。
でも、これもなんだか希望的観測のように思えてしまうところが困ってしまう。
「裏切られた」といえば、本当ならすでに「構造改革」によって、この4年間で裏切られ続けているわけだし。
そう考えると、これから経験する「地獄巡り」も、なんら効果はないのかもしれない。マスゴミは全然、役立たないし。(つーか、日本を沈める共同正犯、A級戦犯だし。)ついでにいえば、某宗教団体の存在も日本社会のガンだ。
そもそも、出口のビジョンを示さない「改革」――要するに「自己目的化」した改革という「運動そのもの」――というのは、アレントが指摘したナチスの全体主義イデオロギーと同じで、あらゆる事実による検証を跳ねのける免疫力をもっている。行き先を示さず、上がってるのか下がってるのかを示してくれる目印をなければ、たとえ急下降中でも、「前に進んでいる」「動いている」ということ自体が「改革が進んでいる」ことの唯一の証左となってしまう。その結果、現象的には、「改革」の結果としてニートや非正規雇用の若者が「やっぱり改革しなくっちゃ」と小泉「改革」を支持してしまう――あるいは支持するしかない――というような悲しい状況になってしまうのかもしれない。(まぁ、一番直接的な原因は、民主党のヘタレ具合なんだろうけど。)
日本をあきらめたい。でも、自分は日本人。あきらめきれないし、あきらめてもいけない。「次」に希望を託したいし、託さなきゃいけない。。それが日本に生まれ育った者の、後の世代への「責任」。だから、希望を持つこと自体が、相当の力技なのだろう。
でも、希望って、そういうものだろう。
「決して負けない強い力を僕は一つだけ持つ」――ブルーハーツ「リンダリンダ」
ここで「僕」は、「僕ら」、つまり日本人すべてに置き換えたい。
日本人を信じたいし、信じている自分を肯定したい。
<追記1>
このエントリー、最初に書いたとき、けっこう怒りと失望に任せて書いてしまったので、「日本人はここまでバカだったのか」とか、アホなことを書いてしまった。少し落ち着いてから読み直してて、「うーん、これは、現実逃避モードかも」と思い直し、ちょっと修正・加筆しました。(途中で、ひろのきまぐれ日記さんからのトラバ(↓)にも気づき、さらに欝。はい、ご指摘のとおりです。反省してます。)あと、タイムスタンプがずれていたのでそれも修正しました。(今日11日の未明に何か書こうとして、「新規エントリー」の作成ページを開いていたところに、そのまま書いたので、タイムスタンプがその時のものになっていた。)
<追記2>
上で「小泉・自民党政権への失望は必至だ」と書いたが、その一方で私は、今回の「圧勝」の背景にある有権者の「改革への期待」が、自民党議員、とくに30~40台の若手議員への強烈なプレッシャー=危機感となり、、本格的な行財政改革、経済改革、そしてそのためにも必要な党の体質の抜本改革(官僚依存体質、利権談合体質などからの脱却)につながってくれることも期待している――というより「願って」いる。それは、「自民党存続のために」という内向きの動機でもいいし、日本社会・国民のことを考えた公共的動機からでもいい。他方、今回大負けした民主党も、危機感のもとで、本格的な政権担当能力のある政党を目指し、やはり若手を中心に発奮し、自民党の若手との超党派の連携も組みつつ、日本の政党政治の再編(ガラガラポン)の下地を作ってくれればいいのだが。。
賢者の謙虚さ
日本をあきらめたい・・でも
日本におけるマイケルムーアを見る思いがします。
俺は賢くて、みんなは愚かだ、と言われている感覚でしょうか。
たしかに、実際そうなのかもしれません。けど、それをいわれた人間の身に
なっているのか?感情を理解しよ…
今回の選挙で、こちらのブログにはいろいろ勉強させていただきました。小泉改革に賛成派、反対派、さまざまなブログをめぐってみましたが、賛成派の方々の言われることは、正直、全く容認できませんでした。小泉内閣に希望を持っている人がまだこんなにいるということにとても驚いてしまいました。そして、それが今回の結果なんだなあと思います。
私たち夫婦は、この結果を見て本当に日本をあきらめようと思いました。でもやはり貴方の仰る通り、私たちは日本人ですし、あきらめるわけにはいかないんですね。日本が危険な方向に向かっている。それを食い止めることができるのは日本人しかいないということを胆に命じてこれからの4年間を見守っていこうと思います。まだ取り返しはつくと信じたいです。
9・11の論理
テロとの戦争を前面に出して勝利した、ジョージ・W・ブッシュ。
郵政民営化を前面に出して勝利した、小泉純一郎。
一方は、9・11という自爆攻撃をされたことで、都合の良い争点を与えられ勝利した。
もう一方は、自爆することで、9・11を作り出して、都合良、…
『日本の民主主義は、ポピュリズムの怖さ、危険、その「歴史の業火」に焼かれることを心底経験しないと、成熟に向けての歩みを始められない」
というよりは、それを経験したのに、その経験がいきていないということではないですかね。そうかどうかは歴史認識の問題ですが。
要は、日本の天皇制を前近代的な遅れととらえるか、非常に現代的な大衆社会特有の非合理性ととらえるかどうかです。戦前戦中のマスコミ、国民の高揚感、その他様々な要素を、とくに江戸後期からの、都市の大衆化の流れなどから総合して考えると、後者だと思います。
これを前近代性として説明したがために、同じ類の過ちを二度することになっているのではないですかね。
「日本人はここまでバカだったのか」とか、アホなことを書いてしまった。
良かった。なんてアホなことを書くのかと思いましたから。
小泉の宣伝力はすごいですよ。選挙放送を見てください。宣伝のプロが作ったものと、文化祭でビデオを作ったのとの違いがあります。中川秀直などなどは、小泉の直感力など言っていますが、そういうのを聞きかじって毎日の編集長などもあれは、首相の直感ですなどと言っていますが、後ろにプロがいて作戦をたてているのでなければ、あれほどのものはできません。
テレビを自分の方に向けるのも簡単ですよ。都合の悪い放送があれば、視聴者づらして、あの放送は許せんなどとやれば、政府には対抗するつもりの放送局でも、それを国民の声だと思って良心的に変えますから。
インターネットでも、一般市民の顔をして、意見を操作するのも簡単でしょう。とくに、楽天やライブドアを自分の側に引き込んだのはすごいです。
ようするにバーチャルな情報の管理を徹底的にやっているのだと思います。したがって、バーチャルな世界にアクセスする時間の長い世代ほど、小泉支持が増えているのはそれでではないでしょうか。
なお、別な次元の話ですが、道路公団の捜査なども、猪瀬さんが少し口を滑らせました、小泉の意向で入ったのでしょう。目の上のたんこぶができると必ず捜査が入る。
つまり、新旧さまざまな装置を最大限利用してバーチャルなリアリティーを構成し、そのうえで、国民の判断を待つわけです。
要は、現在の歴史状況で、情報つまりリアリティーがどこで構成されているかという問題をふまえて統計を読めば、その背後で何が行われているかがわかります。これは、社会学の常識です、
小泉純一郎に投票したすべてのみなさまへ
題名と少し違いますが、
「マイケル・ムーアからブッシュに投票した皆様への手紙」を
翻訳してもらいましたので、お送りいたします。
出所(ここを翻訳)
http://www.michaelmoore.com/words/message/print.php?id=185
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