明日からいよいよ、阪大CSCD(コミュニケーションデザイン・センター)の「科学技術コミュニケーション・ワークショップ」が始まる。4日、5日、6日、11日、12日に朝10時から午後4時まで、計30時間のプログラム。
センターの科学技術グループのデヴュー企画で、阪大大学院の人間科学研究科、文学研究科、法学研究科、理学研究科、工学研究科、基礎工学研究科の計6研究科から2、3人ずつ院生たちが参加してくれる。今年は試行プログラムなので、単位はなし。どんな結果になるか、期待通りになるか予想外のことが起こるか、それ自体がやってみなければ分からない実験的企画。そういう意味で、参加してくれる学生さんたちも、この実験の共同実施者だったりする。
具体的なプログラムについては、最終日を迎えてから書こうと思っているが、一番の目的は「異分野間コミュニケーション」の体験である。文理6研究科の学生が集まることで、文系と理系の間だけでなく、文・理それぞれのなかでの専門分野間のものの見方や考え方がいかに違うか、そのためにいかに互いに話がかみ合わないかという「ディスコミュニケーション」の体験を通じて、その違いの背景を互いに考え、自らの専門の認識枠組みの特殊性を反省的に対象化してもらうのである。(ちなみにこの「反省的」という言葉は哲学の業界用語で、わが科学技術グループの工学系出身のスタッフには最初「???」だった。)
科学技術コミュニケーションで「専門家」が、専門外の素人(一般の人)と話すとき、なかなか専門家の期待するように理解を相手が示さないことがある。そんなときしばしば持ち出されるのが、「話が通じないのは相手が無知だからだ」という診断である。しかしそれは必ずしも正しくはないし、かえって余計にコミュニケーションをこじらせる障害になっていたりもする。今回のワークショップは、将来、それぞれの分野の専門家となり、専門外の人々――他分野の職業的専門家かもしれないし、そのいずれでもない素人の市民かもしれない――を相手にコミュニケーションをする任を負うかもしれない院生さんたちに、「専門家」というのは誰でも特定の分野についての専門家であり、他分野に対しては素人の一人に過ぎないということ、そして、もしも専門外の人間と話が通じないとすれば、それは、相手が「無知」だからではなく、お互いが依って立っているものの見方や考え方、前提となる知識が異質であるからだということを、ふだんじっくり話し合うことのない異分野の人と強制的に議論することで実体験してもらうのである。
この試みが、今回われわれが用意したプログラムでうまくいくのかどうか、それはやってみないとホントに分からない。なにしろ、模範とすべき前例が、国内はもちろん、海外でもなかなか見当たらないからだ。
そういうわけで、これは本当に実験的な試み――demonstrativeではなくexperimentalな試み――である。共同実験者となる院生参加者の皆さん、一緒に楽しくがんばりましょう!
阪大科学技術コミュニケーション・ワークショップ
投稿者:
 
こんにちは!プログラム参加者の阪大理物のなかたにです。
「CSCDの存在は、ネットでたまたま知って…」と言いましたが、その情報源は平川さんのページだったということに今の今、気がつきました!
このプログラム、どうなって行くのかどきどきわくわくです。
できるだけ積極的にCSCDに関わって行きたいので、今後ともよろしくおねがいしますっ!
それでは、また明日のプログラムで。
パソコンが壊れると。
先日パソコンが修理から帰ってきた。
お気に入りなどに入れてるやつも
全部吹っ飛んだ。また一々探してくる手間などが
大変面倒なものである。
このブログだってそう。一度アドレスをすっかり忘れると
もうだめ、。検索だってぜんぜんかからないし。
何で検索したら引っ、…
なかたにさん、ワークショップ、お疲れさまでした。せっかくコメントいただいたのに、お返事遅くなってすみません。
ワークショップの前半3日間の「異文化体験」を終えて、どうだったでしょうか?議論の進め方一つとっても、個人や専門によって違ったりして、ストレスを感じることもあったかもしれませんが、それも含めて楽しんでいただければ幸いです。
ちなみに私は、自己紹介したとおり、理学系+人文系(これらは実はカルチャーが似ています)のバックグラウンドもあるので、なかたにさんのものの考え方、感じ方に共感するところ大だったりします。
後半2日も、楽しいんでいただければ嬉しいです。(サポーターもよろしく。)
こんにちは。
ワークショップの試みに期待しています。
専門家の人たちが、私達一般の国民に耳を傾け聞き入れてくれる、そんな日がくるように…
頑張って下さいね。
arcadiaさん、こんばんは
ワークショップ、明日から仕上げの二日間です。
上のコメントのなかたに君をはじめとして、みんな期待できますよ。
分野を超えたコミュニケーションに向けて
ドタバタしているうちにずいぶん間が空いてしまいました。 Mangiare!Cantare!Pensare!(京都女子大学現代社会学部 平川秀幸研究室blog)のこの記事で,阪大CSCD(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター; Osaka University Center for the