ここのところ(つーかずっとだけど)忙しくて、不覚にも完全に見逃してたのだけど、イギリスのセラフィールド核燃料最初の施設のソープ工場で、20トンのウランと160kgのプルトニウムが混合した83立法メートル(オリンピックプール半分の量)の放射性燃料溶液が無人エリアに漏洩する事故が起き、工場が閉鎖されているそうだ(参考:BBC “Leak spills 20 tonnes of uranium“)。
さっき、積読(?)状態だった河野太郎議員のメルマガ「ごまめの歯ぎしり」を久々に読んでいたら、5月9日と10日の記事に書いてあった。
漏洩が見つかったのは、4月19日だそうで、調査の結果、事故の深刻さが明らかになり、英国でも5月9日になって大々的に報道されたようだ(それとも総選挙で控えてた?)。幸いにも施設外への放射性物質の漏れはないとのことだが、施設内の放射能汚染は甚大――なにしろ20トンのウランと160kgのプルトニウムだもんね――なため、人間は近づけず、液体を回収し、設備を修復するには、特殊なロボットを作って、難しい操作をしないといけないそうで、費用も5000億円、あるいは1兆円もかかるという。
ちなみにセラフィールドは、昔から周辺環境の放射線汚染の疑いや事実でも有名なところだが、日本の使用済み核燃料の処理もたくさん引き受けているところでもある。(つーか、再処理を実用ベースでやってるのは、世界でこことフランスの施設だけ。あとはみんな採算性や環境汚染問題等で撤退済み。)だから、ここの事故や不祥事は全然「対岸の火事」ではない。事故修復費用も、もしかしたら日本の国家財政=国民の税金や電気料金から一部負担させられるかもしれない。
ところが、河野氏も書いているが、日本のマスコミはなぜかほとんど、この事故を伝えていない。Yahoo!ニュースでは、唯一「英核施設で放射性溶液漏れ 4月に異常発見、汚染なし」という見出しの共同通信の記事があるだけ。再処理を国策に掲げる日本政府や、自分たちの大スポンサー電力会社への遠慮かどうか知らんが、この情報隠蔽、ほとんど北朝鮮並み。
ちなみにniftyの新聞記事横断検索で調べたところ、引っかかったのは次の6件だけ。それ以外はみんな「見ないフリ、聞かないフリ」ですか?
- 英の核燃料再処理施設で放射性溶液漏れる
2005.05.18 東京朝刊 29頁 (全285字)- 英再処理工場で放射性溶液漏れ/青森・核燃原告団指摘
2005.05.14 河北新報記事情報 (全469字)- 英再処理施設で放射性溶液漏れ
2005.05.11 朝刊 3頁 3面 (全164字)- 英、核再処理施設で放射性液体漏れ~4月に発見、汚染なし
2005.05.11 夕刊 6頁 共同 夕国際 (全304字)- 英の再処理施設 放射性溶液漏れ 作業無期限停止
2005.05.11 朝刊 3頁 3面 (全374字)- 英核施設で放射性溶液漏れ 4月に異常発見、汚染なし
2005.05.10 共同通信 (全・図406字)
BSE問題でもそうだけど、ほんとマスゴミはクソだな。
他方、ググってみると、いくつかのブログと(当然ながら)反原発系NGOサイトでは取り上げているところがみつかった。そのなかで特に詳しいと思ったのは、環境総合研究所所長の青山貞一さんのブログ。それと連動してる「今日のコラム」の記事リンクを記しておきます。
それとこちらも。
- 原子力資料情報室: ソープ再処理工場・使用済燃料硝酸溶液漏えい事故~続報(2005-5-16)
- 原子力資料情報室: ソープ再処理工場で高レベル放射性廃液約83立方メートル漏えい (2005-5-12)
- 美浜の会: 英仏再処理関連ニュースの部屋
美浜の会には既に5/6に事故の記事がある。
あと、ググった最初のページでひっかかったブログのリスト。どれも多かれ少なかれマスゴミのヘタレぶりを指摘している。(随時追加)
上にも書いたように、セラフィールドは日本にとっていろいろな意味で他人事ではない。六ヶ所村の再処理工場では、操業に向けて、去年末からウラン試験というのが始まっている。そんな日本の「エネルギー行政」について面白い(?)話を、河野太郎氏が5月18日のメルマガで紹介している。同メルマガは部分引用禁止なので、全文引用するが、当該部分以外は薄い色にしておきます。(当該部分以外も面白いけど。)
新宿と大宮の間に新幹線を作れという主張があるそうだ。馬鹿じゃなかろうか。日本の現状を考えてものを言ったほうがよい。
(こういう主張をする政治家と同じ政党にいるストレスでアトピーが悪くなる!)
郵政の特別委員会は40人委員会。
50人委員会だと社民党の委員が出るが40人だと社民党はゼロになる。(他の党が枠を一人社民党に譲れば別だが)
自民党の枠は二十一人。それぞれの派閥に委員の推薦依頼がいったが、若手主体の委員になるようだ。反対派も委員になれるが、採決前に委員を差し替えるとのこと!
うーん、またどこかの国際会議で中国の人に日本も民主化しろといわれそうだ!?
今週中に本会議で設置する予定だが、郵政民営化に反対する自民党議員は特別委員会設置に反対はしないのだろうか。
ウォールストリートジャーナル紙の記者が日本の原子力政策の取材に来日。
日本で十日間取材して、原子力政策に関して高等教育を受けた官僚や学者、ビジネスマンが全く論理性も合理性もない話を必死にするの直面してものすごく驚いたと感想を述べていた。
まあ日本の原子力村が海外で通用するはずもないが。
キャッシュカード立法で小委員会で最後まで揉めたのが、盗難の届け出からさかのぼって何日間まで補償するかということ。
二営業日または十営業日という案がリシュリューとマゼランから出されたが、三銃士&ダルタニャンは少なくとも一月を主張する。
持っているキャッシュカードの一枚を二週間全く使わないということはあるではないか。二週間という意味のないサイクルでカードが盗難されていないかチェックしろというのは不合理だ。せめて給料日に給料の振り込みを確認しながらキャッシュカードが全部きちんとあるかどうか確認するというのがぎりぎり預金者に要求できるところではないか。
さらに我々(塩崎、世耕、山下、河野)は、預金者の過失(重過失ではない)についても預金者の責任を定額(10万円)にすべきだと主張したが、石原金融問題調査会長と江崎小委員長は低率を主張し、預金者には少なくとも70%は補償するという線で落ち着く。
とりあえず二年間で総点検するという前提で要綱案に合意。
いよいよ英国軍との戦いだ!
あと、これもオススメ → 出た! デタラメ白書
(この話題、次に続く)
<追記>
この事故、なんと発生から発見(?)まで9ヶ月も放っておかれてたのだそうだ。
技術云々じゃなく、組織として重大な欠陥があるんだろうな。日本のどこかの会社みたいに。(JR西とかJALとか三菱自動車とか?)
英核再処理施設、放射能汚染水漏れ=昨夏から9カ月-日曜紙
【ロンドン29日時事】29日付の英日曜紙インディペンデント・オン・サンデーは、イングランド北西部のセラフィールド核燃料再処理施設で昨年8月から今年4月まで9カ月間にわたって、ひび割れしたパイプから放射能汚染水が漏れる事故が発生していたと報じた。
同紙によると、再処理施設を運営する英原子力グループ(BNG)は、表示装置が昨年8月から放射能で汚染された水漏れの発生を示していたにもかかわらず、従業員が対応を怠ったことを認めた。事故が発見された今年4月19日時点で、漏水は8万3000リットルに達しているという。(時事通信) – 5月31日23時1分更新
セラフィールド…重大性を隠匿しようとしたBBCニュース
セラフィールドについて、再度、海外のメディアをチェックしていたところ、BBCが4月23日時点で、報道していたことを発見しました。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/england/cumbria/4476905.stm
記事は、その半分以上を使って、「たいしたことないよ。安全」としてい、…
イギリスでの高レベル放射性廃液漏洩事件
こんな重大なニュースが報道されないなんて、またしても開いた口がふさがりません。
ヤメ記者弁護士さんが、14日に「セラフィールド漏洩事故についての報道状況:英国あ〓んど日本」というエントリーで教えてくれました。
イギリスのソープ再処理工場で、ウ…
3/3-4 六ヶ所村ラプソディー 初公開上映会
六ヶ所村ラプソディー
【初公開上映会 開催のお知らせ】
『六ヶ所村ラプソディー』?オフィシャルブログ より転載いたしました。
http://a…
ヒョウタンからコマ -独島・竹島騒動の陰に- 鬱陵隠岐火山灰
ヒョウタンについて調べていて、気になる事がありました。
鳥浜貝塚に残る火山灰は、何を語っているのだろうか。
日本の原子力発電所は、海底型巨大噴火を想定…