PCトラブル中にもうひとつツッコミしておきたかったニュース。
安全評価、数値盛らず 米産牛肉の輸入条件で厚労省など
厚生労働省と農林水産省は、米国産牛肉の輸入を再開する条件の政府案に、安全性を評価するための数値は盛り込まない方針を明らかにした。発症危険率などの数値を示すのに必要なデータを集めるのは難しいと判断したという。数値論争を避けることで、食品安全委員会の議論を早く進める狙いもあるとみられる。・・・
食品安全委では事務局が、脳や脊髄(せきずい)といったBSE原因物質が蓄積しやすい部位の除去方法や、飼料に肉骨粉が紛れ込まない態勢の確立など、米国内の安全対策の実態を報告。専門家からなる委員が、日本の対策と比較して、米国産牛肉の安全性を定性的に判断する。 (朝日新聞 2005年05月04日13時51分)
「発症危険率などの数値を示すのに必要なデータを集めるのは難しい」から、定量的評価はしませんって、いったいどうやって評価するわけ???日本の対策と「比較」というからには、何らかの数値がなければできないと思うのだけど。「米国内の安全対策の実態を報告」というけど、ちゃんとした定量的データなしの「実態報告」って何よ?
だいたい、「必要なデータを集めるのは難しい」というのは、アチラの事情だろう。なんで客である日本が、アチラの不手際・非協力に合わせてやる必要があるんだ?本来なら、「十分なデータが揃うまでは評価できません」、「評価ができないのに輸入決定することは食品安全基本法第11条に反するのでできません」というのが筋だろう。ホントにヘタレだなぁ。
それと、6日の時事通信の記事「米加のBSE対策を調査=8日から1週間-政府」によると、米国の実態調査に行くのは外務、厚生労働、農水の3省の実務担当者だそうだが、プリオン専門調査会の専門家は誰もいかなくていいわけ?現地調査ということは、飼料製造や屠畜・解体の現場に行かないと意味がないわけだけど、そういう現場の事情に詳しい人や、英語やスペイン語(作業員は移民の人多いそうだから)喋れる人もいないと、意味のある調査にはならないだろう。そもそも、どこかの独裁国家みたいにアチラの政府が指定した場所しか入れず、現場の作業員への聞き込みも(仮にあったとして)ぜーんぶアチラがお膳立てしたものになる怖れだってある。4月23日の読売の記事「5月にも農水省 牛肉輸入再開へ詰め」では、「農水省は昨年に3回、米国で現地調査を行っているが、『いずれも米政府のおぜん立てした場所』(関係者)だった。今回は、日本側が視察する処理場なども要望する考えだ」ということだけど、要望したとたんに、お膳立てが整えられるんじゃないだろうか。小学生の工場見学じゃないんだから、しっかりやってくれよ。
ちなみに、この現地調査で数値データがちゃんと入手できないとすれば、「SRM又は死亡牛が化製処理され、飼料原料として使われている」として、米国のBSE対策システムを「極度に不安定」と評価している欧州食品安全機関(EFSA)の地理的BSEリスク評価(GBR)や、「飼料規制は改善されてはいるが監督体制の不備により実効性が不十分」と判定した米国会計検査院の先月の報告書などを参照せざるを得ないと思うのだけど、どうなんだろう?これらに従えば、当然輸入再開なんかできるはずないわけなんだが、結局は、(いつものごとく)圧力に屈して、安全委員会はスケープゴートとして利用されるだけになるのだろうか。。
参考: