とうとう始まってしまったファルージャ総攻撃・・・罵倒の言葉さえ見つからない

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日本時間でおそらく夜半過ぎ、とうとうファルージャ総攻撃=第2の大虐殺が始まってしまった。「ザルカウィ」という「第二の大量破壊兵器」を口実にして。
まさに「文明の衣をかなぐり捨てた攻撃」
先ほどNHK BSのニュースでは、この攻撃を報じるニュースのあと、小泉がブッシュに電話して、「これからもアメリカと世界のために指導力を発揮して欲しい」と伝え、ブッシュは「選挙遊説中、あちこちで小泉首相の話をして、世界のために両国がいかに結束しているかをアピールした」と答えたというニュースが続いていた。いま、この瞬間に起きている残虐行為――それこそブッシュにとっての「指導力」の結果なわけだ――の最高責任者と、その世界で一番の追従者=ポチ以下野郎のなんとも無責任で現実離れした会話。
「クソッタレ」とか「クタバレ、バカヤロー」とか、「変態野郎!」とか、いろいろ罵倒の言葉を探したが、こいつらにはどれも当てはまらない。
罵倒の言葉というのは、どんな相手であっても、「人間」に宛てたものだからだ。
この総攻撃に先立って米軍は、7日にファルージャ市内の病院を襲い、50人以上を拘束したという。その目的は、CNNによれば、「病院職員が今後の戦闘で出る負傷者の手当を、武装勢力に脅かされることなく、速やかにできるような環境を確保する必要があったのと、病院がこれまでのような反米プロパガンダの拠点として使われ続けることを止めさせる必要があったから」だという。
この二つめの理由は、その欺瞞の深さにおいて注目に値する。これについてはNew York Timesの記事G.I.’s Open Attack to Take Falluja From Iraq Rebelsがより詳しく伝えている。

ファルージャで戦闘が勃発したのはこの半年で2度目である。4月、米軍は街の中心部に迫っていたが、そのときイラク全土の諸都市で人々の蜂起が起きた。この憤りは、たくさんの民間人犠牲者が出ているという確認の採れていない報道により引き起こされたもので、それにより米軍は撤退を余儀なくされた。
 米軍司令官たちは、これらの犠牲者に関する報道は誇張されていたと述べたが、どれだけ多くの民間人が殺されたかを独立調査で確認することは不可能だった。病院が簡単に落とせる標的として選ばれたのは、米軍が大規模な犠牲者についての噂は病院から出たと考えていたからである。
 「病院がプロパガンダの中心だ」と米軍の将校は6日に語った。
 
Falluja, April 2004 – the bookの記事「文明の衣をかなぐり捨てた攻撃」より転載)

要するに、4月の「大虐殺」は武装勢力側に脅された医師たちが流した「プロパガンダ」であり――なんだかどこかの国の南○大虐殺論争みたいだ――今回もそれが病院から流され、ファルージャ住民や他地域のイラク国民が蜂起する恐れがあるから、病院を占拠したというわけだ。ちなみにいまNHK BSのCNNニュースでも病院占拠の米軍の説明を報じていたが、それによれば、「武装勢力が『怪我をした』とやってきて、それで犠牲者数が増えてしまう」とも言ってるそうだ。
しかしながら、4月の大虐殺については、様々な調査によってそれがプロパガンダなんかではないことが示されている。イラク・ボディカウント(IBC)の控えめな集計でも、死者数は800人、そのうち約600人が民間人で、その半数の300人は女性や子どもであったとしている(No Longer Unknowable: Falluja’s April Civilian Toll is 600, Press Release on Tuesday 26th October 2004)。また4月以降ファルージャ入りした多数の外国人ジャーナリストも惨状を伝えている。犠牲者の数は、IBCのプレスリリースのタイトルにあるように、「いまや知ることができる」ものであり、この期に及んでもなお「たくさんの民間人犠牲者が出ているという確認の採れていない報道」などというN.Y. Timesの言い分は成り立たない。そして、「4月のはプロパガンダである」ということが、それ自体プロパガンダである以上、それを前提にした今回の病院襲撃・占拠も決して正当化されない。
要するに米軍の意図は、犠牲者が集まり、その総体的事実が判明しやすい病院という「事実の集積現場」を封鎖し、犠牲者の数を数えられないようにすることによって、ファルージャ市民や他のイラク国民、あるいはイラク戦争に批判的な国際世論に対する「情報戦」を展開することにあるのだ。そして病院が米軍に占拠され、負傷者が行くことが出来なくなれば、数えられないままに亡くなっていく犠牲者が誰にも知られることなく増えていくことになる。あるいは負傷者は、とくに男性の場合は「武装勢力」と見なされ、治療を受けることもなく拘束され、ヘタをすればそのまま放置、見殺しにされる恐れもある。そして、彼らの死は、「犠牲者数」にはカウントしてもらえないのである。
この「見殺し情報戦」と勝るとも劣らない、米軍のとんでもない別の「作戦」内容についても触れておこう。これが事実かどうかは分からないが、真実だとすれば、ほんとうにそれは罵倒する言葉が見つからないくらい酷い破壊、文明そのものの抹殺を、人類最古の文明国の一つに対し、歴史も文化もない最先端科学兵器を背負った野蛮人どもがしかけているということになる。
M.H.Squareさんが転載している「アラブの声」メーリングリストの記事を、再転載させていただく。

ファッルージャを完全破壊し住民を離散させる米国の計画 サウジ紙が暴露
 イラク駐留米軍はファッルージャに潜伏しているとされる所謂ザルカーウィ一派の殲滅を狙っているどころか、町を完膚なきまでに破壊する計画を練っていると8日付のサウジアラビアのアル・ワタン紙が報じた。
 本紙が信頼すべきイラクの情報筋から得た情報によれば、米国当局は現在、来る総攻撃で将来二度と住むことや復興が再建が出来ないように、ファッルージャを完全に破壊する計画をイラク暫定政府と練っている。
 この計画によれば、35万人に達する町の住民に、金銭補償をした後、近郊の都市や郡の間に破壊後に点在して建設される小居住区に住まわせる。
 この計画の目的は基本的に、戦闘後の犠牲者の家族や親族が1箇所に固まって住むことを防ぎ、(ファッルージャの)町が将来50キロ離れている首都バグダードを脅かす新たな拠点とならないようにすることだ。
 この計画はまた、西部地域の主要部族を首都から遠隔のヨルダン方面の地域に移住させることも含まれる。
 一方、西側の複数報告書によると、現在行われているファッルージャで抵抗勢力と米軍の軽、中火器による小競り合いは、抵抗勢力の警戒度と来る米軍の攻撃に対する防御力、彼らが使用する火力の密度などを打診する手段に過ぎない。
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これではパレスチナ人に対するイスラエルのやり方と変わらない。
バスラ・ネットに掲載された聖戦大隊の声明によれば、ファッルージャからの戦術的撤退もあり得るとしている。
アラブの声ML 齊藤力二朗
http://groups.yahoo.co.jp/group/voiceofarab/

要するに米軍は、かつて「開拓」時代にネイティヴ・アメリカンたちにしたことを、イラクでもやろうとしているのだ。「イラクの民主化」とはそういうものであり、気に入らないヤツは徹底して排除・無力化し、同じ「記号」が通じるもの同士の内向きの世界――中絶反対とか「私は神を信じる」とか「倫理観」という名の記号を信仰するキリスト教原理主義者の世界のように――を作ることでしかないのである。
もう一つ、米軍の――これも罵倒の言葉が見つからない――作戦について記しておこう。nanayaさんのエントリーでも紹介されている軍事評論家・神浦元彰氏の最新軍事情報解説から。これも、最終的な真偽は不明だが、ヒロシマの「ウラン爆弾」だけでは満足せず、「実験」のためにナガサキに「プルトニウム爆弾」を投下したアメリカには、さもありなんな話である。

すでに市内の武器庫や弾薬庫などといった、人の出入りが多い建物を疑って米軍は爆撃した。これは上空の無人偵察機が送る赤外線情報で、地上で人の動きや出入りを見張っているからだ。もしその場所が避難所や病院であっても、人の出入りが多いということで、米軍が精密爆撃する目標になる。要するに、人の出入りが多いことが”軍事上の要衝”と判断するからだ。ファルージャ周辺では24時間「ブー」という低音が響き渡っているはずだ。これは無人偵察機が飛行する音である。低空、中空、高空と、幾重にも重なって、かなりの数の無人偵察機がファルージャ上空で常時地上の動きを探っている。
 これは米軍の戦闘実験(兵器システムの実験)なのである。市街戦でいかに米軍のハイテク兵器(RMA)が効果を上げるか実験される。米軍が新開発したRMA兵器システムを、ファルージャの市街地とそこに立てこもる五千人の武装勢力に試すのである。
 このファルージャの市街地戦闘の勝敗は、驚くほどの戦果を短時間で米軍にもたらすだろう。そしてハイテク化された米軍の市街地戦闘のモデルケースとして、これから米軍の教材や訓練に利用される。そのための戦闘実験である。地上を走る黒いケーブルは武装勢力の通信線や爆破装置と考えられるが、激しい砲撃のためにズタズタに切断され、米軍突入とともにその役目が終わる。自爆テロの車はエンジンを始動すると同時にミサイルやロケット弾が飛んでくる。武装勢力の兵士は吐く息まで米軍の赤外線センサーに探知される。
 米軍が市街地で徹底したRMA戦闘を行うのは今回が初めてである。

ちなみに今回の攻撃の作戦名は「幻の憤怒」作戦だそうだ。
4月の民衆蜂起はプロパガンダに踊らされたものだということでも意味してるのだろうか?
ふざけるな、クソヤンキー

 

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10件のコメント

  1. Blog記事投稿直後のTR、ありがとうございました。
    とても情報量の豊富なサイトですね。
    僕はまだまだですが、これからも貴サイトを見習い、充実したBlogにして行きたいと思っています。
    どうぞ宜しくお願い致します。

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  4. こんばんは。
    いつもは冷静なひらかわさんも、キレましたね。
    きょうは、仕事をしながらも、ファルージャはどうなっているんだろうと気がかりでした。
    目の前の日本に住む病人は、こうして病院で医療を受けられるのに、イラクに生まれたというだけで何という運命。
    日本政府は、強く抗議すべきだと思います。今、アメリカに意見できるのは、日本なのかもしれない・・・

  5. diaさん、はじめまして。こちらこそ、よろしくお願いします。
    nanayaさん、こんばんわ。
    今回は、さすがにキレました。
    ずっと怒りを抑えながら書いていたのですが、我慢できませんでした。
    あとでエントリーにしようと思ってるのですが、ファルージャ攻撃が停止したら、有無を言わさず直ちに国連の被害調査団を入れないとマズイかもしれません。「病院はプロパガンダの中心」とまでいう米軍は、ホロコーストが発覚しないよう、何らかの方法で死体を消し去り、ファルージャをまるごと米軍のプロパガンダの中心にするかもしれません。恐ろしいことですが、やつらならやりかねません。

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  7. [転載][アラブの声MLより]ファッルージャを完全破壊し住民を離散させる米国の計画 サウジ紙が暴露

     購読している「アラブの声」MLより。米軍がファルージャを跡形もなく破壊しようと…

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