一瞬笑ってしまったが、当人たちにとっては実に深刻な話かもしれない。小生のアメリカ人の友人の中にも、もしかしたらカナダの大学の求人情報を探し出したやつがいるかもしれない。
だけどねー、超大国アメリカの(迷惑の)影響力はすさまじく、ブッシュ政権の毒牙からは、国境を越えたくらいじゃ逃れられないんだよなぁ。。今回の選挙結果で、なんだか生まれて初めて「地球は狭い」と実感しちゃいましたよ。
ブッシュにはウンザリ–カナダ移民局サイトに米国からのアクセス急増
カナダ政府当局者からの報告によると、米大統領に再選されたGeorge W. Bushが米国時間3日に受諾演説を行って以来、同政府の移民局サイトへのトラフィックが急増しているという。
同サイトでは、3日に過去最高のトラフィックを記録し、米国人ユーザーによるアクセスはふだんの6倍に達したと、Canadian Press (CP)という通信社が伝えている。
米国からのアクセス件数は合わせて11万5016件で、同日に記録したアクセス数全体の64%となった。市民および移民局の当局者がCPに語ったところでは、最もよく見られたページは、熟練労働者向けのオンライン自己評価フォームだったという。
Bush大統領の再選に幻滅し、カナダへの移住を検討しているリベラル派の米国人は、6-12カ月間の待機期間と1500ドルの手数料を見込んでおくべきだろう。そのほか、冬の厳しい寒さと税金の高さも覚悟しなくてはならない。
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ところで、最後に書いてある「冬の厳しい寒さと税金の高さも覚悟しなくてはならない」というくだりだけど、冬の厳しい寒さはともかく、税金の高さは実は重荷ではないんじゃないだろうか。たとえば医療制度を比べても、未だに約4500万人(総人口の15.6%)が保険に入れない福祉国家後進国――文字通り「後進」してる――アメリカと比べたら、カナダは天国だろうから。(ソース: U.S. Census Bureau. Health Insurance Coverage: 2003)
ちなみに、「税金」に関して、昨日(4日)開かれたATTAC Finlandのミカエル・ブック氏によるトービン税の講演会で興味深い質問があった。
それは、講演の中でブック氏が、「フィンランドでは大多数の国民が『もっと税金を上げろ(more tax!)』と求めている」と言ったことについて、「なぜ国民がそんなことを要求するのかよくわからない」というものだった。
確かに、日本人の感覚からすると、減税してくれとは思っても、増税を積極的に求めるなんて不思議だろう。消費税を上げるのだって、政府が躊躇するくらいだ。日本から見ると、フィンランド人は自分で自分の首をしめるような要求をしているようにみえる。
しかし、フィンランドは、「高負担・高福祉」のいわゆる北欧型福祉国家の一つであり、高い税金を払っても、その見返りとして保険や年金、教育など幅広い社会サービスが無料ないし低価格で、しかも経済的地位や居住地域の違いによらず公平に提供される国である。日本だったら一人当たり600万から1000万かかるといわれる幼稚園から大学までの教育費も無料の国だ。そして、ブックさんによれば、このようなフィンランドでも最近は財政が厳しくなりつつあり、社会サービスの一部を民営化しようという動きがあり、これに対し国民は、民営化してサービスの質が下がったり公平性が崩れるくらいなら税金を上げろといっているのだという。
ちなみに上記二つめの参考サイトによれば、フィンランドは「2002年の国際比較調査において(transparency international)、世界でもっとも政官の汚職の少ない国であると評価」されているのだそうだ。フィンランドと日本の差は、高い税金を払っても、それを政治家や官僚が不透明な使い方をせず、きっちり国民のために使ってくれる国と、いくら税金を払っても暮らしは向上せず、無駄な公共事業やら何やらで無駄遣いされていると感じられる国との違いでもあり、後者に住むわれわれにとっては、税金を余計に払うのがバカらしく思えるのも仕方ないのである。
しかも日本はいま、コイズミ改革によって、どんどん新自由主義的政策が推し進められ、ますますアメリカ型の社会に変わりつつある。うわべだけは、株価も上昇して景気が上向いて見えるけど、貧富の差も拡大しているし、失業率が下がったとはいっても、その分非正規雇用者の割合が急増中だ。
同じ地球にあるのに、どうしてこうも違う社会システムの国が存在するのだろうか。そういう意味では地球は広い。
Sorryというアメリカ人
平川研究室のブログ11月6日の記事(右下リストにリンクあり)に、ブッシュの再選後、米国人のカナダの移民局のサイトへのアクセスが殺到していることが紹介されていた。これを読んでアメリカ人の友人が教えてくれたジョークを思い出した。ちなみに彼女は選挙結果に激怒し、…