【無念】香田証生さん死亡確認、そして彼の真の目的(追記11/7)

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先ほど、日本時間で今日午前1時頃にバグダッドで見つかった遺体が、とうとう香田証生さんだと政府が確認されたと速報が流れた。
外国特派員記者会見の際、香田さんのお母さんが、息子の名前は「生きて証を立てる」という意味で、「生きて帰ってくれば、いつか平和のために働く男になってくれるはず」というようなことを語っていたが、ついにそれは叶わなかった。
ところで前回のエントリーで、彼は「あまりに無防備、無思慮、無謀」だと書いた。確かにそうなのかもしれない。しかし彼がイラク入りした目的そのものは、そんな言葉で切って捨ててよいものではないらしい。NOPOBLOGさんのエントリー「まだ望みはあるかも…」M. H. Squareさんの「香田さんは『戦争の真実を見ようとした勇敢な若者だということを知ってほしい。』」をさっき読んでいて、そのことを知った。速報が流れたのは、ちょうどその時だった。


NOPOBLOGさんたちが紹介している記事をここにもペーストしておこう。

10月30日付東京新聞夕刊
戦争体感したい・・・言い残し 四ノ宮さん「真実を見に行った若者」
 「将来に可能性を秘めた若者だった。本当なら残念の一語につきる」-。香田証生さん(二四)と二十日夕方までヨルダン・アンマン市内のホテルで過ごした映画監督の四ノ宮浩さん(四六)は三十日早朝、香田さんと特徴の一致する遺体が見つかったとの情報を知り、厳しい表情で心境を語った。
 四ノ宮さんによると、イラク入りを目指していた香田さんと別れたのは二十日午後六時すぎ、滞在していたクリフ・ホテルに近いバス停だった。「やはり戦争を体で体験しないと平和は語れないですよね」。そう言い残して香田さんはイラクに向かった。冒険心と同時に、不安ものぞかせるような複雑な表情にみえたという。
 「非常に好奇心旺盛な若者だった。たくさんのイラク人がなぜ殺されなくてはいけないのか。なぜ一般のイラク人までが米軍に銃を向ける状況になっているのか。そうしたことに興味を持っているようだった。それを確かめるためにイラクに行ったのだと思う」と四ノ宮さん。「自分に課題を課し、それを乗り越えようとしているような決意も見えた」という。
 四ノ宮さんは「彼は今、まるでただの観光旅行をしていたように言われているが断じて違う。戦争の真実を見ようとした勇敢な若者だということを知ってほしい。真実を見に行った、尊敬できる日本人だ」と話す。

同じく四ノ宮浩さんの言葉を、昨日の毎日新聞夕刊は次のように紹介している。

「彼はただの観光旅行に行ったように思われているが、まったく違う。『どうしたら世界は平和になるんでしょうか』などと語る純粋な若者だった。戦争というものを肌で感じて、そこから平和について考えようとしたのだと思う。行動は無謀だったが、真実を知りたいという姿勢をぼくは評価したい」

「戦争というものを肌で感じて、そこから平和について考えようとした。」彼は、自ら生きて、戦争の証を立てることはできなかった。そのチャンスを決定的に奪ったのはテロリストたちであり、その行為は極悪な犯罪だ。それは裁かれなければならない。けれども彼の死からわれわれが受け取るべきメッセージは、それだけのことではないのは自明だろう。なぜ彼や、そのほかの日本人も含む何十人にもおよぶ外国人たちが殺されたのか。何よりも、すでに10万人を超えたというイラク戦争の民間人犠牲者は、なぜ命を奪われねばならなかったのか。戦争をしかける側にしても、犠牲になるアメリカ兵士の多くが、本国では貧しい家庭の子息だという。ほかにも世界のあちこちでアメリカの戦争によって犠牲となる人々がいる。アメリカが支持するイスラエルによってパレスチナの人たちが殺され、またその報復テロでイスラエルの民間人が殺される。そして、そんなアメリカに追従するばかりの日本政府。そして・・・。ほんとうに無思慮で無謀な大バカ者はいったい誰なのか。必要以上に個人の死を美化するのもアレだが、割り引きすぎてもいけない。ちなみに朝日新聞の記事によれば、香田さんの遺体は星条旗に包まれていたという。そのあまりに明らかな意味も含めて、彼の死を、単なる無謀な若者の死と切り捨ててはいけないだろう。
最期の数日間に彼は何を想ったのか。。
せめてそれくらいは、一瞬でもいいから考えてみてもいいんじゃないかと思うのだ。
香田さんのご冥福を心からお祈りします。


<追記(11/7)>
おそらく上記の四ノ宮さんのと思われる証言から、日本では報じられていない香田さんの言葉が、フランスのLe Mondeで伝えられている。阿修羅掲示板に該当部分の訳が出ていたが、ちょっと訳しなおして貼り付けておきます。

Shosei Koda, 24 ans, jeune routard japonais
….. Cette affaire bouleverse le Japon, mais la presse fustige aussi la “naïveté” du jeune homme et son ignorance des mises en garde des autorités, une nouvelle fois sur la sellette pour avoir envoyé des troupes en Irak. Le jeune Koda voulait voir “de ses propres yeux”, disait-il, ce qui se passe en Irak : “On raconte tellement de mensonges” furent ses derniers mots à un cinéaste japonais rencontré à Amman avant de prendre un car pour Bagdad.
香田証生24才、若き日本の放浪青年
・・・この事件は日本を動転させたが、メディアもまた、この若者が「世間知らず」で、政府の警告を無視したと強く非難している―その政府は、自衛隊イラク派遣を再度批判されているのだが。香田青年は、イラクで起こっていることを「自分自身の目」で見たいと言っていた。彼がバグダッド行きのバスに乗る前にアンマンで出会った日本人映画監督に残した最後の言葉は、「みんな嘘ばかり言っている」だった。

阿修羅掲示板の投稿でも指摘されているが、この最後の「みんな嘘ばかり言っている(=嘘がはびこっている)」という言葉は、日本のメディアでは報道されていない。香田さんは、単なる好奇心でイラク入りしたのではなく、マスコミを通じては全く本当のことが分からないからこそ、真実を知りたいと思い、行動したということなのだろう。
改めて香田さんのご冥福をお祈りさせていただくとともに、(クソッタレの世間やマスコミの前では決して吐露することができなかった)ご家族の深い悲しみが少しずつでも癒されることを願います。
最後に、Negative StoriesのDoXさんの絵へのリンク。
おれたちのかわりにころされた
あと、おなじくこのエントリーも: 悲しいよ
いったいいつから日本人は、こんなに醜くなってしまったのか。。

 

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12件のコメント

  1. 香田証生さん?絶対に生きて帰って欲しい

    まずは、どのような人間であれ、自国民の生命の保護は国家の義務であることは大前提である。 実は私が最も気にしていることが、今回の香田証生さんの拉致事件なのですがエントリーできずにいました。 色々と錯綜する情報に落胆し、希望をつなぐ繰り返し、ご家族の心境は、…

  2. 誰も望んでいない道を誰もが歩むことになるときが近づいている

    香田さんが殺された。イラクで何が起きているか命の危険を冒してまで自分自身で確認しようとした香田さんが殺された。自分自身の無関心と戦うためにはイラク行きどうしても必要だと思いつめたように私には思える…

  3. 彼を オオバカと言うと 自衛隊を派遣している我が日本もオオバカですね
    復興支援とはいいつつ その実 米軍支援ですし 非戦闘地域に派遣とは
    誰も 思わない 彼を愚かだとは誰も言えません この眼でイラクを見よう 
    それは今の日本人に必要なことかもしれない

  4. blueさん、こんばんわ。
    本当におっしゃるとおりだと思います。
    こんな大バカなことをこのまま続ければ、自衛隊員の人からも犠牲者が出るのは時間の問題です。
    いったい僕らは、いつになったら誰が一番大バカ者なのかに気づくんでしょうか。。

  5. 香田さんは「戦争の真実を見ようとした勇敢な若者だということを知ってほしい。」

     誘拐された香田さん。「遺体確認」の一報が流されたが、その後別人と確認された由。…

  6. 悲しい結末。どう受け止めるべきだろうか。

    香田さんのご遺体が見つかったそうで、非常に残念です。
    切断された首はアメリカの国旗に包まれていたそうです。
    ご家族は非常につらいことと思います。
    ご家族のコメントです。
    「お礼と感謝でいっぱい」=殺害された香田さん家族のコメント
    (以下引用)
    「…

  7. 香田証生さん遺体で発見…

    香田さん遺体で発見 指紋が一致、政府確認自衛隊活動の継続表明 首相「事件と支援は別」小泉純一郎首相は31日、イラク日本人殺害事件に関し、自衛隊によるイラク復興支援活動について「イラクの情勢を総合的に考えて判断していかなければならないが、国連でもイラク

  8. TB送ります。 拙文、ご笑覧下さい。
    地震時の心理について調べていました所、バッシングの背景も浮かび上がってきました。ご助言賜れば幸いです。
    (そちらの前回のブログは、バッシングのカテゴリーではないと、了解しております。)

  9. 災害時の心理を考える. その2. 「恐怖デマ」

    震災時に流れる、デマ。
    なぜ、このようなものが、現れてくるのでしょうか。
    私には、この分野の日本での研究の層に、首を傾げざるを感じました。関東大震災、日本海中部地震での、デマが影を落としているのでしょうか。
    それはひとまず置き、再び『デマの心理学』(G.W …

  10. 香田さんは死ぬ前に自分を探せたのだろうか

    今回の人質事件について、当初は全く関心が無かった。しかし、「【無念】香田証生さん死亡確認、そして彼の真の目的」を読んで、考えが変わった。この他にも香田さんがただの「馬鹿なヤツ」だとは思えないというサイトなど、思った以上に多く存在した。
    彼の理由がどうであ.

  11. 香田証生くんの告別式

    福岡から八木山峠を越え飯塚に出て、バイパスで直方へ向かった。 頓野で告別式のある善光開館直方会場を探すので少し手間取り、到着したのときには告別式が始まったところだった。 今日の直方の空は抜けるような秋の青空だった。…

  12. 今回の事件についての所感

    昨今で日本人に一番影を落とした問題。やはりイラクに行った香田証生さんのことではないでしょうか。

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