今日は朝から入試業務。ようやく終わって、さっき日経のニュースを見たら、こんな記事が。
なか卯、在庫の米産牛肉で「牛カルビ丼」・関西で実験
和食チェーンのなか卯は25日から米国産牛肉を使った「牛カルビ丼」を関西地区の約50店舗で実験的に売り出す。BSE(牛海綿状脳症)による米国産牛の輸入禁止で2月に牛丼販売を中止したが、在庫をまだ残していたという。これにメキシコ産や豪州産をブレンドする考え。
[2004年10月23日/日本経済新聞 朝刊]
「まだあったの?」と思わずあきれちゃいました。
収益が減って大変なのはよく分かるけど、国が輸入禁止にしているものを、余っているからといって客に出すのってどうよ?それって、今ですら不十分だという指摘の多いアメリカの管理体制が敷かれる以前のものじゃん。そもそも、なぜ未だに国によって回収されていないのかも不思議。
ちなみに日本は、最初のBSEが発生した後、未検査のまま既に市場に出回っていた国産牛肉の買い上げをやった。そのなかで例の偽装事件なんかも起きたわけだけど、どうして米牛肉は同じように回収しないのだろう?国産牛のときは、消費者の安全を守るということに加えて(あるいはそれ以上?)、未検査牛が出回ることで消費者が買い控えして、当時既に落ち込んでいた牛肉消費量がさらに落ち込んで、生産者が苦しくなるのを避ける狙いがあったのだろう。アメ牛の場合は、回収しなくても、国産とはとりあえず区別できるので国内生産者に影響はないし、在庫のあるところなら、外食産業もとりあえず、少なくとも短期的には困らないとでも読んだのだろうか?あるいは、今回は消費者の反応も2001年ほどではなかったし、それどころかマスコミでは、「それって検査も危険部位除去もしてない肉だよ」なんてことには一切構わず、吉牛に殺到する客を煽るように映し出していたくらいだから、それで国としても回収の必要性を感じなかったのかもしれない。それとも、モノがアメリカ産だったという「日米関係」を考慮した結果なのかもしれない。とにかく、輸入禁止で、しかも管理体制が敷かれる以前の肉を、なぜいつまでも放置しているのか、国の対応はどうも一貫性がない。
そして、国が何もしないのをいいことに、在庫を平気で売り出す企業。
まぁ、BSEでvCJDに感染するリスクそのものに神経質になっているわけではないのだけど、政策の首尾一貫性のなさとか、企業の商売根性丸出しなところとか、またそういう問題点を突かぬまま、輸入再開やら牛丼再開で「アメ牛カモ~ン!」と煽るだけのマスコミの無責任さというのだけは、なんとかしてほしい。