日米局長級会合の最中、タイムリーなニュース。
米で初のBSE牛、肉骨粉に加工し危うくアジアへ (読売新聞10月21日)
昨年12月に米ワシントン州で発見された米国初のBSE(牛海綿状脳症)感染牛の体の一部が加工工場に回され、それによって汚染された恐れのある肉骨粉などが、アジアに向けて出荷されていたことが、米会計検査院の調査報告書で20日明らかになった。
肉骨粉などを積んだ船は、途中で引き返し、積み荷は米国内で処分された。
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業者の指示で2月24日に船は米国に戻り、3月2日、すべての加工品が処分されたことをFDA側も確認したという。この業者は主にインドネシア向けの加工品を製造していたが、報告書では具体的な出荷先国名を挙げていない。
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「アジアに向けて出荷」、「報告書では具体的な出荷先国名を挙げていない」。う~ん、いったいどこの国でしょうね?中国だったりすると、最近中国産牛肉で販売を再開した○屋の牛丼は怪しいかもしれない。
ちなみに日本は、「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(飼料安全法)」や「牛海綿状脳症対策特別措置法」によって、動物(哺乳類、家禽、魚介類)由来のたんぱく質を含んだ肉骨粉などの飼料を牛に与えたり、製造、販売、輸入したりすることを禁じ、懲役を含む罰則も課している。なので、もしもこの「出荷先国」が日本だったりすると、それは犯罪行為となる。
それにしても米国のBSE対策には、なんだかかつての日本と同じくらいか、それ以上に、危機感が感じられない。上記の記事によれば、米国保健省のFDA(食品医薬品管理局)は、「1頭目の感染が公表された翌日の昨年12月24日、材料が加工業者に送られていた事実を把握し、同27日に、『汚染の恐れのある加工品の流通を停止した』との声明を発表していたにもかかわらず、肉骨粉が出荷されたのは、その声明の発表後だったという。まぁ、初めてのBSE発見ということで、間違ってしまったのかもしれないが、一事が万事ともいうし、やはり米国の管理体制は信用しちゃいけないよなぁ。。(管理体制そのものが「海綿状(spongiform)」?)
そういえば以前のエントリーで少し触れた、今年7月9日にFDAとUSDA(農務省)が共同提案した以下の追加措置は、次のような内容になっている。
- 特定部位(SRM)をペットフードも含むすべての動物用飼料から除去し、飼料の生産・流通過程や、農場における誤給餌で起きる交叉汚染のリスクを管理する。
- 交叉汚染防止のために、生産・輸送時に飼料や成分の取り扱いと仕分けを行う専用の機械や施設の確保を義務付ける。
- すべての哺乳類および家禽のたんぱく質の、反芻動物用飼料への流用を禁じる。
- 歩行困難牛、傷害牛、死亡牛の部位を動物用飼料として使用することを禁じる。
そして、これらの追加措置の内容を裏返して読むと、今現在の米国の対策の姿が見えてくる。
- 特定部位(SRM)が、ペットフードを含む動物用飼料に使われており、飼料の生産・流通過程や、農場における誤給餌で起きる交叉汚染のリスクもちゃんと管理されていない。
- 交叉汚染防止のための、生産・輸送時に飼料や成分の取り扱いと仕分けを行う専用の機械や施設の確保が義務付けられていない。
- すべての哺乳類および家禽のたんぱく質の、反芻動物用飼料への流用が禁じられていない。
- 歩行困難牛、傷害牛、死亡牛の部位を動物用飼料として使用することが禁じられていない。
ボロボロじゃん、アメリカ。
しかも、この提案とて、(予想通り)業界の大反対にあっていて、いつ実施できるか、わからない。次の記事によれば、少なくとも大統領選まで米国政府はやる気がないし、選挙が終わったからといって業界が反対を止めることはないだろう。(Agencies Postpone Issuing New Rules Until After Election, N.Y. Times, September 27, 2004)
日本のBSEも交叉汚染と思われる中、とんでもない話で、肉骨粉規制はきちんとしてくれないと大事になります。ただでさえ英国からはアジアへ肉骨粉が輸出されていました。今後、アジアもBSEが出るかもしれない。
動物性飼料に関しては国際取引を避ける方向にしないとマズいかもしれない。
haruさん、こんにちは。
アジアでも、実はもう出ているのかもしれませんね。ただ「発見」されてないだけで。
そういう点で、○屋が牛丼に使い始めた中国産牛はどうなんだろうと疑っちゃいますね。