温暖化パニック映画The Day After Tomorrow

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3月にヨーロッパに行ったとき、飛行機内の雑誌で知ってたのだが、The Day After Tomorrowという映画が間もなく日本でも公開される(6/5~)。地球温暖化の恐怖を描いたもので、「インディペンデンス・デイ」と同じローランド・エメリッヒ監督の作品。以下は、Allcinema onlineにあった映画紹介からの抜粋。

二酸化炭素の大量輩出は依然として止まるところを知らず、それに伴う温暖化は日に日に深刻さを増していた。南極の氷河を研究する古代気象学者のジャック・ホール教授は、自らの調査結果から地球の危機を予見、科学者を集め緊急会合を開き地球規模の“スーパー・ストーム”が出現すると警告する。やがてそれは現実となり、巨大な竜巻がLAを襲い、一方のニューヨークでは巨大な高波が街を呑み込もうとしていた。そこには、仲間たちとたまたま来ていたジャックの息子サムもいた。ジャックはできるだけ多くの人命を助けるため、そしてニューヨークで孤立したサムを救い出すため奔走するのだったが…。


この映画、英紙Guardianの今日の記事Never mind the weather overkill: scientists praise Hollywood’s global warningによれば、イギリスでは、環境運動派からだけでなく、政府のチーフ科学顧問を務めるSir David Kingら科学者からも称賛を浴びているという。最近、「気候変動はテロリズムよりも脅威である」という発言で米英で政治的物議をかもしだしてもいるキング卿は、「特に映画の最初の部分は科学的にも政治的にも現実的である」と述べているという。なぜならそこには、まさにブッシュ政権がしているように、温暖化説に否定的で、「経済のほうが気候よりももっと脆弱だ」と言ってはばからない政府(とくにチェイニー副大統領似の副大統領←予告編をみるとホント似てるかも)を、主役の気候学者が懸命に説得するシーンなどがあるからだという。また環境運動からは、「大統領選の年における強烈に反ブッシュ的な映画」と大好評を得ているという。
The Day After Tomorrowというタイトルはおそらく、核戦争後の世界を描いた1983年の映画The Day Afterにちなんだものだろう。ちなみに後者は、昔見たことがあるが、そのあまりに「ちゃちい」出来に怒りすら覚えたのを憶えている。キノコ雲だって、なんかふつうの爆弾が爆発した程度のちゃらいものだったし、身体被害にしても、軽いやけどと「ママ~、髪の毛が抜けちゃうのぉ」(というような台詞だったと思う)という程度で、ケロイドとか、壁に影が焼きついたまま蒸発してしまった死体(?)とか、水を求めてやってきた大勢の人たちの死体で川がいっぱいになっている光景とか、ヒロシマ、ナガサキを知っているわれわれからみると、「どこが核戦争後なの????」と?を100万個つけても足りないくらいのもので、はっきりいって、「なめてんのかゴルァ」な映画だった。せめて「はだしのゲン」、できればその原作くらいのリアリティで描いて欲しかったね(あ、そういえば私、小学生の時、はだしのゲンの映画でエキストラやったことがあった)。そしたら、原爆投下国アメリカから時々聞こえてくる「原爆投下は正義だった」なんて言葉ももっと少なかったかもしれないし、スミソニアン博物館での原爆被害の展示禁止なんてナンセンスな事件もなかったかもしれない。戦争ボケが減って、イラク戦争反対の声ももっと大きくなっていたかもしれない。
それと比べるとThe Day After Tomorrowはなかなか凄いスケールの内容。地球規模のスーパーストームが発生して、東京やニューヨークなど世界中の大都市も洪水や嵐で壊滅とか、そのあとは「スーパーフリーズ」ってことで氷河期に一気に突入とか、さすがIndependence Dayを撮った監督のハリウッド映画というかんじ。だけど、ちょっと(というかかなり?)演出というかデフォルメしすぎで、かえって「これはフィクションだから」といなされそうな気もしないではない。Guardianの記事でも、はじめのほうのシーンから後は「映画の科学とのつながりはゆるみ始める」と書いている。世界のCO2排出量の1/4を出している、どうしょうもなく「20世紀化石文明」を生き続けているアメリカ市民は、これをどう受け止めるのか?ブッシュ再選を脅かすことにつながるのか?「あぁ、怖かった」と冷房ガンガンに効いた映画館を出て、高燃費・大排出量のアメ車でガソリン燃やして、これまた冷房キンキンの自宅で牛肉たべまくってオシマイっていうのが多いんじゃないだろうか?そのあたりの効果はあんまり期待せず、とりあえず映画はエンターテイメントとして観に行こっと。

 

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