食品安全委員会HPリニューアル

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「牛肉解禁で作業部会設置へ 24日に日米高級事務協議」(共同通信)、「全頭検査など再評価を開始 食品安全委専門調査会で」(共同通信)、「BSE対策、見直しに向け検証 食品安全委」(朝日)などのニュースを見て、ふと気になって食品安全委員会のホームページを見たら、URLまで変わって、すっかりリニューアルされてました。食品安全基本法の英語版まで公開されてるし、役立つなぁ~。
さて、BSE-米牛肉禁輸問題だが、今回の全頭検査など日本のBSE対策の再評価のポイントは何か。最大のポイントは、簡易な分だけ精度が決して高くなく、しかしコストはそれなりにかかる日本の全頭検査をどうするかだろう。


これについては、一方では、単に消費者の「安心感」を得るためだけの政治的仕掛け――実際、前農水大臣の武部さんが(仲間の族議員の反対を押し切って)音頭をとって導入したものだし――だとされ、さらには精度の悪さや、異常プリオンの蓄積が少なく、感染リスクを無視できる若い牛まですべて対象に入れている点をやり玉にあげて、アメリカ政府は「非科学的」などと批判している。日本でBSEが発生した当時の農水省の担当者のなかには、「これはあくまで政治的な措置なんです。科学的には意味ないんです」と言っていた人もいた。
しかし他方では、この全頭検査によって、昨年、それまでBSEは発症しないとされてきた21ヶ月齢の若い牛にBSEが発見されたことから、全頭検査は精度が高くなくとも、それなりの検出力もあるし、またそうした想定外の事実の発見にもつながった点で、事前警戒措置(pecautionary measures)として機能したという事実もある。この点で対極にあるのが、米国の「対策」であり、検査はたった0.5%の抜き取り検査(しかも、「へたり牛」しか対象にしないし、いろいろ穴もあるといわれてる)、BSE対策として一番有効な脳や脊髄、眼球、腸などの特定危険部位の除去も、30ヶ月齢以上にしか義務づけていない(日本は月齢に関係なくすべて除去)。
このような両者の隔たりをどう埋めるのか、そもそも埋められるのか。食品安全委員会は、「特定の利害や政治的判断から離れて、独立した科学的リスク評価を行う」ということをミッションにしているが、規制の科学(regulatory science)というのは、政策判断やそれに伴う価値判断と完全に切り離すことはできない。そのうえでいかに、科学的に合理的で、かつ消費者や国内の生産者の納得も得られる解を導き出せるか。この難しい政策決定がどのようになされるのか。そういう決定プロセスの有り様(決定結果ではなく)を研究対象としている小生の研究プロジェクトでも、しっかりウォッチしなければ。
とりあえずは、米国政府に対して安易に妥協せず、筋を貫いて、がんばれ日本政府!

 

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