米国環境規制政策における「専門的インプット」のあり方

京都女子大学 平川秀幸

 本論は、1998-1999年度科学技術振興調整費による調査研究「科学技術と社会・国民との間に生じる諸問題に対応するための方策等に関する調査」(委託先:(財)政策科学研究所)の報告書『科学技術と社会・国民との相互の関係の在り方に関する調査』(政策科学研究所, 2000)より、筆者が担当した米国レギュラトリー・システムに関する調査報告を一部改訂・加筆したものからの抜粋である。

 この調査で当初予定されていた米国環境保護庁(Environmental Protection Agency; EPA)の訪問が実現しなかったため、本論では、主に同庁ならびに他の関連組織のインターネット・ウェブ・サイトに公表されている文書資料、関連文献から情報収集・整理を行った。これと合わせて重要な情報源として、レギュラトリー・サイエンス(規制政策の科学的基盤を提供する科学研究)に関する社会学的・法学的研究の専門家で、EPAや食品医薬品管理局(FDA)の科学諮問委員会委員も勤めた経験のあるハーバード大学J.F.ケネディ行政学大学院シーラ・ジャザノフ教授(Sheila Jasanoff)とのインタヴューを得た。インタヴューは、同大学院のジャザノフ教授のオフィスにて、2000年3月17日14:00〜15:30に行なわれた。またジャザノフ教授からの情報源としては、1999年6月に科学技術庁科学技術政策研究所で行われた講演も参考にした(科学技術政策研究所2000)。