1. 本論の目的

「専門的インプットの正統性」


 米国のレギュラトリー・システムは複雑かつ巨大であり、すべてを網羅する包括的調査は難しい。本論では、規制政策が策定される意思決定プロセスにおいて、どのように科学的・専門的な情報が活用され、その「科学的な妥当性」と政策の「社会的公正さ」、および、これらが確保されていることについての「社会的な信頼性」がどのように確立されているのかという「専門的インプット」のあり方に焦点をあてることにする。

 本報告書では、この専門的インプットの「科学的正当性」、「社会的公正さ」、「社会的信頼性」の三つをまとめて「専門的インプットの正統性(legitimacy)」と呼ぶことにする。