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国内流入の米産牛肉を業者に自主検査要請

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安倍ちゃん、なかなか素早い対応。

国内流入の米産牛肉、業者に自主検査要請…官房長官
 安倍官房長官は23日午前の記者会見で、米国産の輸入牛肉からBSE(牛海綿状脳症)対策で除去が義務付けられている脊柱(せきちゅう)(背骨)が見つかり、輸入を再び全面禁止した問題で、すでに国内に出回っている米国産牛肉についても、食肉輸入業者に自主的検査と報告を要請したことを明らかにした。
 農水省は、これまで脊柱などの危険部位がついた肉が検査をすり抜けた可能性はほとんどないとしていたが、消費者に不安が広がっていることから、政府から関係業者に自主的検査を要請することにした。・・・(読売新聞) - 1月23日13時4分更新

得点稼ぎかもしれないけど、こういう対応はいいな。

でも、次の発言はいただけない。

また、昨年末の輸入再開については、「1年半にわたる日米協議の後、科学的な判断について、十分に議論して、食品安全委員会の決定が下された。(輸出再開の)条件が順守されることを前提に考えており、その時の判断は間違っていない」と述べた。

「輸出再開の)条件が順守されることを前提に考えており」というが、遵守されてるかどうかの査察の結論が出る前に輸入再開しちゃったのは明らかにフライングだろう。

この前も書いたように、査察が行われたのは昨年の12月13日から24日までで、それが始まる前の12日にはすでに輸出解禁をアナウンスしてるんだから(参照:「米国及びカナダから日本向けに輸出される牛肉等の輸入停止措置の解除について(平成17年12月12日)」)。そして、その調査結果「米国及びカナダにおける日本向けの牛肉認定施設の査察について(結果報告)」が出された同26日よりも前に、というより、査察の最中である16日に第一便が届き、19日には焼肉屋で食べられている。しかもこの調査の対象となったのは、日本向け輸出許可を受けた約40箇所ある施設のうちの11箇所だけ。これでは「「輸出再開の)条件が順守されることを前提に考えた」とはいえないだろう。

それともう一つ。毎度おなじみのマスコミの「健忘症」について。

Speak Easyさんのところで取り上げられてたけど、読売新聞は一昨日21日の社説で次のように述べている。

ただ、米国では、食肉処理に当たる作業員の技術が一定せず、危険部位の除去が完全に行われるかなどについて、疑問視する声が根強かった。今回、その懸念が当たった形だ。

だけど、去年の5月、まさに「疑問視する声が根強かった」頃、査察はもちろんのこと、食品安全委員会での米国牛肉のリスク評価さえ行われていない段階で、同紙の社説はこう述べていた。

米国の対応策は、日本が牛肉の輸入再開を認めるのに必要な条件をほぼ満たしている。食品安全委員会は迅速に結論を出すべきだ。

まぁ、別の人が書いているのかもしれないけど、同じ新聞なんだから、前言を翻すなら、「以前の同社の判断は間違っていました」くらい書いて欲しいものだ。ま、こういう健忘症は読売さんに限られたことではないけどね。

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コメント(9)

BSニュースによると、検査を要請したのは「背骨付近の牛肉」だけらしいです。575㌧。一部はすでに流通済み。
しかも、箱を開けて視認するのみ、みたいでしたよ。

「とりあえず見てみました」ってだけ、っていうかんじ?

「米国から日本向けに輸出される牛肉等の家畜衛生条件及び輸出証明プログラムについて」ttp://www.maff-aqs.go.jp/topix/h17.12.12usa.pdfによると、日本向けに輸出可とされているのは「牛肉及び牛の内臓」だけで、その定義は次のようになってます。

牛肉及び牛の内臓は、生鮮あるいは冷凍した部分肉、トリミング及び内臓からなり、挽肉、機械的除去肉あるいは肉加工製品は含まれない。牛肉及び牛の内臓は牛の頭部(衛生的に除去された舌、ほほ肉を除く。)、扁桃、脊髄、回腸遠位部(盲腸接続部より2メートルの部分。)及び脊柱(胸椎横突起、腰椎横突起、仙骨翼及び尾椎を除く。)は含まれない。

そうすると、

・背骨から遠くても、背割りの際に脊髄液がドビャーっと飛びちり、肉に付着している可能性
・衛生的に除去されていない(つまり扁桃の一部が付いている)舌とほほ肉が混ざっている可能性
・回腸遠位部がモツ肉に混ざっている可能性

はノーチェックってことですね。

背骨すら取るのを知らないんだから、残りについても疑ってしかるべきだと思うけど。

結局、お得意の「身を捨てて名をとる」でしょうか?

それを言うなら「名を取り実を捨てる」。
身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ…

お、それだ!

レスをいただき、ありがとうございました。
それで、私の掲示板に喪書いたのですが、この「業者任せの残りの箱の点検」なのですが、危ういものを感じますね。
それは、背根神経節の除去の確認が、果たして、業者による、おざなりの検査でできるものなのか、についてです。
背根神経節(DRG(dorsal root ganglia))の除去については、カナダ政府のサイト「REMOVAL OF SPECIFIED RISK MATERIALS (SRM) FROM CATTLE SLAUGHTERED IN ESTABLISHMENTS INSPECTED UNDER THE MEAT」
http://www.inspection.gc.ca/english/anima/meavia/mmopmmhv/chap4/annexne.shtml
が詳しいようです。
ここでは、脊柱(vertebral column)の除去自体が、必ずしも、背根神経節(DRG(dorsal root ganglia))の除去には、つながらないとしています。
その辺の危機管理意識が、アメリカでは、薄いように、おもえます。
アメリカにおいても、背根神経節は、月齢30ヶ月以上については、危険部位なのですから、日本側としては、目に見えた脊柱のみに惑わされては、危険なことになりますね。
今回の脊柱入り輸入牛肉の他の箱の部分についての懸念は、ここにあります。
ましてや、業者任せでは、脊柱の有り無しは確認できても、背根神経節の確認までは、できないでしょう。

メディアでは脊柱を特定危険部位といっているけど、日本では特定危険部位に指定されていないのはなぜですか?

>Sasayamaさん
お返事遅くなりました。背根神経節の問題についてのご指摘、ありがとうございます。

業者任せの検査で背根神経節の除去の確認というのは難しそうですね。業者にしても、そんなことまで任せられてしまっては困るでしょうね。

政府としては、そこまで考えずに、とりあえず検査しろといってみただけということなのでしょうか。

>プリマさん
コメントありがとうございます。
脊柱は日本でも危険部位に指定されています。「日本では特定危険部位に指定されていないのはなぜですか」という質問は、「アメリカでは・・」の書き違えでしたでしょうか?

食品安全委員会の第5回プリオン専門調査会の「資料2:国際専門家による米国に対する勧告と各国のBSE対策の比較」
ttp://www.fsc.go.jp/senmon/prion/p-dai5/prion5-siryou2.pdf
を見るとわかりやすいですが、米国では脊柱は30ヶ月齢未満の牛では危険部位扱いにされてません。このため、新聞等でも伝えられているように、米国政府は「アメリカでは危険部位ではない」と述べているわけです。これに対し日本では全月齢で脊柱は(他の部位もですが)危険部位とされています。

ひらかわ様

お返事ありがとうございます。
いえいえ、「日本では・・・」で間違いありません。厚生労働省のホームページにある牛海綿状脳症対策特別措置法にはせき髄は特定危険部位となっていますが、脊柱は指定されていません。特定危険部位はと畜場で焼却されていますよね。しかし、脊柱は日本国内でもと畜場を出て流通しています。つまり、と畜場でははずすことができないので特定危険部位に指定していないということと推察します。ですから日本では流通していて、肉屋さんで脊柱をはずしているのですから、アメリカ産だって脊柱付いたまま輸入されていても肉屋ではずせば何も問題はないのではないかと思うのです。

>プリマさん
お返事大変遅くなり失礼しました。ここ一週間ほど仕事で急に忙しくなり、ブログを放置状態でした。

それで、お尋ねの「アメリカ産だって脊柱付いたまま輸入されていても肉屋ではずせば何も問題はないのではないか」ですが、これはおそらく、OIE(国際獣疫事務局)のTerrestrial Animal Health Code 2005のCHAPTER 2.3.13."BOVINE SPONGIFORM ENCEPHALOPATHY"が定める貿易基準に基づくものなんじゃないかと思います。
http://www.oie.int/eng/normes/mcode/en_chapitre_2.3.13.htm

これについては、日米協議の内容も含めて、もう少し調べてみたいと思います。

それと、牛海綿状脳症対策特別措置法と脊柱の扱いの件ですが、これは法律での扱いがややこみいってるようです。

まず牛海綿状脳症対策特別措置法とその施行規則
ttp://www.maff.go.jp/soshiki/seisan/eisei/bse/tokubetu_sotihou.html
ttp://law.e-gov.go.jp/htmldata/H14/H14F19001000089.html
ですが、これが定めているのは「特定危険部位」ではなく「特定部位」となっています。この違いがポイントのようです。

で、その「特定部位」の内訳は、「牛の頭部(舌及び頬肉を除く。)、せき髄及び回腸(盲腸との接続部分から二メートルまでの部分に限る。)」となっており、と畜場で「除去及び焼却することにより衛生上支障のないよう処理すること」が義務づけられていますが、プリマさんご指摘のように、ここには脊柱は入っていません。そしてその理由は、厚労省の「牛せき柱を含む食品等の管理方法」に関するQ&A」ttp://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/11/s1120-3.htmlによれば、プリマさんのご推察のように、脊柱をと畜場ではずすのは技術的に困難だからのようです。

しかしながら、上のQ&Aにありますように、薬事・食品衛生審議会と食品安全委員会の審議の結果、「牛のせき柱に含まれる背根神経節のリスクについては、現在特定部位とされているせき髄と同程度である」ということになり、2004年2月から「我が国を含むBSE発生国について、消費者に販売される食肉にせき柱が含まれてはならないこと及びせき柱を食品の製造等に使用してはならないこと等」を、食品衛生法第11条(旧7条)第1項及び第18条(旧第10条)第1項に基づく「規格基準」として規定し、これに違反する食品については販売等を法的に禁止することになっています。

ただし、脊柱は、と畜場で外すのが困難なため、(特定危険部位ではなく)、と畜場での除去・焼却が義務付けられている「特定部位」には含められていないわけです。また、おそらくそれが理由で、規制の根拠法も、牛海綿状脳症対策特別措置法ではなく、食品衛生法になつているのだと思われます。

まとめると、日本の法規制では、特定危険部位を、と畜場で処分できるかできないかで二つに分け、「と畜場で処分できる特定危険部位」を「特定部位」として、牛海綿状脳症対策特別措置法および同施行規則で規制し、
と畜場で処分できない脊柱(新しく加わった特定危険部位としての背根神経節を含む)は、と畜場以降の食肉処理で外すものとし、食品衛生法で規制するという二十の形になってるわけですね。

面倒なのは、法文そのものには、特定部位という言葉はあっても特定危険部位は出てこないところですが、いずれにしても、脊柱(正確にはその内部の背根神経節)は、法または施行規則で直接「特定危険部位」とはされていない(そもそも法文にはその用語はないため)が、実質的もしくは運用上は、「特定危険部位」として扱っているということでいいのではないでしょうか。

実際、食品安全委員会のパンフレットや審議資料、リスコミでの専門家の講演資料などを見ても、脊柱は特定危険部位の中に入れられていますし。

とりあえず、今日はこんなところで。

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このページは、hirakawaが2006年1月23日 13:06に書いたブログ記事です。

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