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郵政法案騒ぎの裏で進む「共謀罪」の審議

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当ブログでも以前に取りあげたいわゆる「共謀罪」の法案についての東京新聞の記事。

“治安立法”へ条約を曲解? 「成立すれば拡大解釈当然」
 郵政民営化問題で白熱する今国会で、こっそり「現代版・治安維持法」の異名すら持つ法案が審議入りした。昨年八月二十三日付の「こちら特報部」で報じた「共謀罪」がそれだ。罪を犯さなくても、相談しただけで捕まりかねないアブナイ法律だ。政府は国際組織犯罪防止条約の批准のためと同法の新設理由を説くが、条約の趣旨とは異なるただの口実、との指摘も強まっている。・・・(以下

これって、東京新聞では取りあげられたりしてるけど、三大紙やテレビではどうなんだろう?郵政法案騒ぎという「煙幕」もあったりして、ほとんどの人は知らんのだろうなぁ。ますます日本が、どこかの将軍様の統べる国みたいになっちゃうかもしれない重大な法案だというのに。

ちなみに法案の正式名称は「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」。現在、衆議院法務委員会で審議中(経過)。国会会議録検索システムで調べてみると、先月24日の委員会で議題になり、南野法務大臣が趣旨説明が行われ、次回以降、参考人意見聴取を行うこととなっている(議事録はこちらでも読める)。また5月13日の外務委員会では、民主党の松原仁議員が次のように意見を述べている。

また、我が党は、両議定書の本体条約である国際組織犯罪防止条約については、国際組織犯罪を防止するために同条約の締結は有意義なことと考え賛成いたしましたが、同条約実施のために政府が提出している犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案に、共謀罪の新設が含まれていることに大きな懸念を持っております。客観的行為とその結果により処罰することを原則としている我が国の刑法体系のもとで、犯罪の実行着手以前の共謀のみで処罰することができるとする共謀罪を新設することは、人権を不当に侵害する可能性があると考えます。政府は、こうした懸念に配慮しつつ、同法案を見直した上で、同条約を早期に批准すべきであります。

こんな具合に、とりあえず民主党は法案修正を主張してるようなのだが、上記の東京新聞の記事によれば、その程度じゃダメだという意見もあるという。

衆院法務委員会は自民、公明、民主各党議員で構成されている。民主党内には廃案、修正両派が混在しているが、法案に反対する日本弁護士連合会の中村順英副会長は「どこか一部を修正して、どうこうなる法案ではない」と言い切る。

ちなみに同記事の結びには、ジャーナリストの斎藤貴男氏の次の言葉が引かれている。

「近い将来、街中に盗聴器が仕掛けられる時代が来る。共謀罪を推進する自民党の人たちは北朝鮮をよく笑えるな、と不思議に思う」

まったく同感。いったい北朝鮮を非難するジミン党の方々は、いったい北朝鮮の何が嫌いなんだろう?近親憎悪でしかないんじゃないかと思うぞ?

最後に、同記事につけられた「メモ」から。

(メモ)共謀罪 2000年に施行された組織的犯罪処罰法の「改正」。法定刑が4年以上の懲役となる557の犯罪を対象に複数の人々が「共謀」した場合、最高で懲役(もしくは禁固)5年の刑罰に問える。刑法60条の「共謀共同正犯」では犯罪の実行が前提となるが、共謀罪では事前の話し合いだけで罪に問われる。実行前の自首による減刑、免除の項目もあり、密告やスパイ奨励の懸念も。強盗予備罪(懲役2年以下)より強盗の共謀罪(懲役5年以下)が重刑となる刑の不均衡も指摘されている。

<追記>
タイミングよく(?)たまごの距離さんが、今日、次のようなエントリーを書いていました。

今しか書けない「共謀罪」バトン

共謀罪が成立したらどんなことになるか、別に常日頃「ハンターイ!」と叫んでる「香ばしい」人たちでなくてもやばくなるかもって話がわかりやすく書かれています。

あと、これに関連して、自分の過去記事へのリンクです。

気分はもう全体主義?―いやいやそれ以上かも 国民保護法案ってどうよ?―セキュリティ国家のキモ悪さ

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水沫日記(みなわにっき)その2 - 今しか書けない「共謀罪」バトン (2005年7月 8日 09:42)

「たまごの距離」さんから、タイトルもそのまま拝借しました。 「共謀罪」についてで... 続きを読む

 こんばんは。今日は、斎藤貴男・沢田竜夫編著『「治安国家」拒否宣言 「共謀罪」がやってくる』(晶文社、2005年)を読んで、私が考えたことを書きたいと思います。  この本は、斎藤貴男氏へのインタビューで始まり、法律家の解説、ジャーナリストによる体験的ルポ、... 続きを読む

共謀罪とは何か?それは,未だ何の罪を犯してもいない人間を,仮想的な事前の計画ないし陰謀に基づく立証不能な架空の罪状によって処罰することができるという超法規的法令である.その「罪状」は単にその仮想的な計画を模擬(シミュレーション)することによってしか検証... 続きを読む

<転送歓迎> 【このビデオは必視聴】→衆議院TV平成17年10月26日法務委委員会4時間05分 . 画面左サイドバーのカレンダーから10月26日をクリック→画面から法務委員会を選択. 説明・質疑者等のリストがある.時間があれば,をクリックして全編を視聴、... 続きを読む

コメント(4)

私も、この法案の成立を非常に危惧しています。
権力者が、法令を好きに解釈し利用するのは目に見えてますからね。
友人が自衛隊官舎へのポスティングで逮捕されたのにも驚きましたが
これはもう、秘密警察や全体主義をイメージさせられてしまいます。

ご紹介とTBありがとうございました。
「自分は有罪にはなりそうもない」という人にとっても、すごく息苦しい社会になりそうです。
そこにイメージを働かすことができるかどうかなんですが・・・。

>>アリさん
コメントありがとうございます。
まったくおっしゃるとおりですね。裁判になっても、司法が市民側についてくれる保障すらありませんし。少なくとも運用に関して、厳密な制限規定がなければ、これを全体主義への坂道ではないなんて考えるのはファンタジーですね。ハンナ・アレントの『全体主義の起源』(みすず書房)を読むと、現代がいかに全体主義的であるかがよくわかり、寒気がします。アレントは、イデオロギーと並んで(秘密警察や強制収容所による)テロ(ル)を、全体主義の本質的な統治手段と考えましたが、それはテロルが、人々の間に不安、恐怖を生み出し、密告の恐怖が人々の関係を猜疑心に満ちたものに変えていき、そうやってバラバラになった個人を束ねるものとして、イデオロギーが機能するからです。共謀罪の規定は、悪用すると、そうしたテロルの道具になりかねませんし、ビラ配りの逮捕なんてのは、それがもたらした効果から見ると、とってもテロル的ですよね。(日本の場合、「イデオロギー」は、「神の国ニッポン」とか、そういうやつなんでしょうね。)

>>まきこさん
いつもブログ、読ませていただいてます。
ほんとに、「誰も逃れることはできない」ということにどれだけイマジネーションが働くかが鍵ですね。
バトン、広げましょう。

私も共謀させてください(笑)

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このブログ記事について

このページは、hirakawaが2005年7月 7日 01:18に書いたブログ記事です。

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