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浜岡原発 「耐震上2号機もたず」―データ改ざんの内部告発

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内部告発を、された側が「安全です」の一点張りで全否定する。BSE問題での米国とまったく同じ構図の話。(ただし事故った場合の被害規模は比べものならないくらいデカイ。)告発内容が真実であれば、かなりガクブルな話。

浜岡原発 「耐震上2号機もたず」 設計会議で担当者発言 当時の関係者が告白 (静岡新聞2005/04/16)
 中部電力浜岡原子力発電所2号機(御前崎市)の設計にかかわったという技術者の1人が15日、県庁で会見し、設計段階にあった昭和47年当時、設計者が集まった会議の席上、耐震計算担当者から「耐震上2号機はもたない」との話を聞いた―などと告白した。担当者はその際、対策に都合のいい方法で再計算する考えも示したという。・・・
 男性によると、会議で東芝社員の耐震計算担当者は、「2号機は持たない。建屋と圧力容器について耐震補強の工夫をしてみたが、空間が狭すぎてうまくいかないのであきらめた」と話したという。原因として担当者は「岩盤の強度が弱い」「核燃料集合体の固有振動数が想定地震の周波数に近く共振しやすい」などを挙げたとされる。
 このため、担当者は(1)岩盤の強度を測定し直したら強かったことにする(2)建屋の建築材料の粘性を(実際よりも)大きい数値で計算する(ことで振動が減衰しやすいように見せ掛ける)―などの対策を講じた。・・・
 浜岡原発2号機の設計に技術者の1人としてかかわったという男性(63)の「告発文書」について中部電力は15日、「敷地に影響を与える最大の地震を考慮して設計・施工している。国による安全審査でも確認済み。建設後も常に最新の知見に基づき耐震性を確認しているため、安全性は確保されている」などとする見解を発表した。・・・

浜岡原発といえば、東海地震の震源域内に立ち、地震による破壊で起こる原子力災害「原発震災」が懸念されているホットなところ。運転停止を求めた差し止め訴訟や、田中康夫長野県知事や稲盛和夫京セラ会長なども署名してる全国署名も展開されている。(詳しくは、東海地震と原発震災問題のリンク集からどうぞ。)

中電も、くだらないメンツなんて捨てて、早く停めりゃいいのに。まぁ、今回の2号機も含めて、70年代-80年代に建造された1・2・3号機は、検査のため止まってるわけだけど、4、5号機もやはり心配。とりあえず、地震が来るまででいいんだから。このまえのスマトラ沖地震の津波被害を見てると、中電が説明してる「津波対策」なんて、かなり頼りなく思えてくるぞ。2度、3度と津波がやってくるようなケースも含めて、シミュレーションしてみたらどうだろう?(もちろん中電とも原子力業界とも独立な機関で。)

なお、内部告発者の方が書かれたデータ改ざんに関する詳細と、中電の記者発表はこちら。

前者は、最後にこう書かれている。

原子炉が制御不能に陥れば、核反応は止まらなくなります。その後、液注、配管破断による炉内の水漏れ、緊急冷却装置の故障を経て、やがてはメルトダウン(炉心熔融)です。浜岡原発は世界に放射能を撒き散らす最悪の事態を引き起こす可能性があります。過去に設計に関わった者として、そのことを明確に申し上げます。

(しかし、内部告発者の方を非難するわけじゃないが、30年間も黙っていたなんて。危機感が薄かったのか、それとも、こういう内部告発はやはり相当のリスクがあるということなのか。。)

ちなみに、1月29日付の静岡新聞の記事「浜岡原発 耐震改修へ 来月から調査工事 揺れ想定東海の2―3倍 中電」が伝えているように、中電は耐震性増強のための工事をすることになっている。

中部電力は28日、浜岡原発(御前崎市佐倉)1―5号機のすべてについて、耐震性を向上させる工事を実施すると発表した。同社は従来、想定東海地震を上回る規模の地震に対しても十分な耐震性を確保していると説明してきたが、今回の工事で東海地震の2―3倍の地震動に耐えられるよう一層の強化を図るとしている。・・・

これに対する同紙のもう一つの記事は、この背景として、原子力安全委員会が2001年7月から進めている耐震設計指針の見直し論議への対応と、東海地震に対する耐震性への不安を解消したいという思惑が見えると指摘し、次のように述べている。

浜岡原発耐震補強 国の指針見直しに先手 想定外地震へ対応
一昨年ごろから地震学者らから浜岡原発の耐震性への疑問が提示されたり、静岡地裁で運転差し止め訴訟が係争中。耐震指針の見直しで、国から何らかの補強を指示されれば、世論の反発が膨らみかねない。中電は関連を否定しているが、巨費を投じてでも先手を打っておきたかったというのが本音だろう。

そうだとすると、「敷地に影響を与える最大の地震を考慮して設計・施工している。国による安全審査でも確認済み。建設後も常に最新の知見に基づき耐震性を確認しているため、安全性は確保されている」という今回の内部告発に対する中電の説明とは矛盾してしまうんじゃないだろうか。この説明は、とりあえずの脊髄反射的なものにしか見えないな。ただ、今回の改修は、政府の中央防災会議による想定東海地震の揺れの2―3倍に相当する加速度約1000ガルの地震動に耐えるものにしようというもので、「現行でも想定振動には耐えられるのだが、念のためやっておく」という考えなのかもしれない。だとすると、その「念のため」の意味が問われるところ。ただの「安心」対策なのか、それとも現状ではやはり不十分という何らかの工学上の根拠――たとえば想定振動でも壊れるリスクがあるとか、想定振動を上回る揺れが来るかもしれず、その場合は壊れうるとか――に基づいた安全マージンの確保なのか。ホントのとこ、どうなんだろう?

ちなみに、とあるところから聞いた話では、この耐震改修の具体的内容については調査中で、まだ決まっていないんだそうだ。

もう一つ付け加えると、同じく静岡新聞の今年3月22日の記事によれば 、浜岡原発の運転差し止め訴訟で静岡地裁は、1―4号機の原子炉格納容器の耐震性などについての計算書など、中電側が技術ノウハウの部分などを非開示にして提出していたデータについて、非開示部分も開示して30日以内に同地裁に提出するよう中電側に命令している。同地裁は、技術ノウハウを含む文書について「いずれも15年以上前の情報で、『技術または職業の秘密』として保護する必要性も低下している」と判断し、「原発の安全性の確保は社会共通の要請であり、守秘義務違反といったような問題が生じるかは疑問」などと命令の理由を述べたという。

ところが、これに対し中電は、24日午前、東京高裁に即時抗告している。「非開示はメーカーの技術ノウハウに関する部分。メーカーの営業上の利益を守るための措置で、契約上の守秘義務を負っている」というのが理由だそうだ。安全より利益ですか?というより、これは取ってつけた理由で、ホンネは別のところにあるのかな?「安全だ」というのが本当なら、公明正大にデータを公開すべきだと思うが、そういうつもりは全くないらしい。「だから信用できないんだ」ってことも分らんのか、それとも、分ってても隠したい(「機密」じゃなくて)「秘密」でもあるのか?

そういえば、以前にとある原子力安全の研究者から、日本の「原子力ムラ」の問題点の一つは、メーカーや電力会社が、安全性に関わるデータや技術、ノウハウ、経験をちゃんと共有せず、それぞれで囲い込んでしまうことだと言っていた。原子力ムラは、村人同士でもヒミツ主義らしい。

最後に、上にもリンクしておいた「東海地震+浜岡原発=原発震災」関係のリンク集を再掲しておきます。

東海地震と原発震災問題のリンク集

<追記@4/19>
今日19日の静岡新聞に、上記の耐震補強工事が今月末からスタートするという記事があった。

浜岡原発 月末に耐震補強着手 支持鉄塔や地盤強化 2005/04/19
中部電力は18日、今月末から浜岡原発(御前崎市佐倉)の耐震補強工事に着手すると発表した。3―5号機の(1)排気筒を囲う支持鉄塔の設置(2)配管ダクト周辺の地盤改良―から始める計画。工事に必要なボーリング調査や試験施工などの事前調査を今月末から開始するという。 ・・・

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このページは、hirakawaが2005年4月17日 01:05に書いたブログ記事です。

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