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米国牛はやっぱり危ない?

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一昨日の記事にトラックバックを頂いたBSE&食と感染症 つぶやきブログさんの昨日の記事で知った米国の食肉処理の検査体制の杜撰さに関するニュース。とうとう現役の食肉検査官まで告発に出たようだ。NNNの動画ニュースで、全文のソースはもうサイトから消えている。

4/11 15:38更新 http://www.nnn24.com/33932.html
BSE問題に関連して、アメリカ農務省の現役食肉検査官がNNNのインタビューに対し、「食肉処理場の検査体制はずさんである」と具体的に証言をした。現役の検査官がテレビカメラの前で、このような証言をしたのは初めて。
 食肉処理現場のずさんな実態を証言したのは、牛の月齢判別や危険部位の除去などが適正に行われているかを監視する農務省・食品安全検査局の現役の食肉検査官。検査官は「米国内で本来、食肉として処理されてはいけない、月齢30か月以上の牛の危険部位が処理される場面をこの2日間だけでも2度目撃した」と述べた。また、処理場の従業員の多くが、まともな訓練も受けないまま、月齢判別などの現場を任されているため、間違いや見過ごしが日常的に起きていると述べている。さらに、間違いや見過ごしを指摘した場合にも、処理場や農務省の幹部にはとりあってもらえず、現場の検査官の権限がほとんど生かされていないと訴えている。その上で検査官は「処理業者が、農務省に指図をするという構図にはもううんざりだ。結局、業者は検査官をなるべく排除しようとしているんだから」と述べた。
 今回の取材に応じた検査官以外にも、農務省の基準が守られていないと主張する現場の担当者は全米で声を上げ始めている。・・・

このような食肉検査の杜撰な実態については、他にも、日本のマスコミでも何度か登場している米国農務省の元食肉検査官で獣医学者のレスター・フリードランダー(Lester Friedlander)氏が、カナダのエドモントン・ジャーナルに「米農務省が米国内で新たなBSE(牛海綿状脳症)の牛を見つけながら秘匿してきた疑いがある」と告発している。

U.S. mad cow coverup alleged: American records not credible, former packing plant vet says

彼は、他の専門家とともにカナダ下院農業委員会の公聴会でも昨日12日に証言をしている。

なおリンク先の最初の日経の記事には、フリードランダー氏の名前は出ていないが、こちらを見ると、当初は「日付の加エドモンド・ジャーナル紙が農務省の元食肉検査官で獣医師のクリス・シュワルツ博士の告発を掲載した」と書いてあったようだ。でも、上記のエドモントン・ジャーナルの元記事をみると、「クリス・シュワルツ(Chris Schwarz)」というのは、記事についてるフリードランダー氏の写真を提供した同ジャーナルのカメラマンの名前であることがわかる。日経の記者が勘違いしたようで、それで削ったのかな?だったら名前を書き換えるだけでいいはずなんだけど。。。(ついでにいうと、ジャーナルの名前も間違ってる。)

また先月には、こういうニュースもあった。

米牛肉「特定危険部位の処理不十分」 ─ TBSニュース
アメリカ産牛肉の輸入再開を巡り、アメリカからの圧力が強まっていますが、全米食品検査官合同評議会のペインター議長は、JNNのインタビューで、アメリカでのBSEの特定危険部位の処理が不十分だと訴えました。・・・

こうした現場の告発に対し、当然ながら米国農務省は真っ向から否定している。

そのうえ、さらに日本に対してもこんなことを言ってる。

ついでにこんなことも。

米農務長官、牛肉禁輸措置の解除で科学的正当性を強調
【ワシントン12日共同】ジョハンズ米農務長官は12日、米国産牛肉の輸入再開を日本に求めている問題で「米国産牛肉は安全だ。米国は変わったことを要求しているわけではない。科学はわれわれの味方だ」と述べ、禁輸措置の即時解除を目指す米側主張の科学的な正当性を強調した。議会上院の公聴会出席後、記者団に語った。・・・
 ジョハンズ長官は「(米国産牛肉には)食の安全性をめぐる問題は存在しない。輸出再開を切望している」と語った。

疑われてる側がいう「正当性」なんて、丸呑みで信じるやつがどこにいるというのか、といいたくなるが、日本政府は心配だなぁ。。。なにせ、日米安保では、日本への核兵器の持込みに関して、自ら調べることなく米国側の「もってませーん」という「事前通告」を丸呑みしてきた国だからな。米国も「推定無罪だ」なんてアホな論理を持ち出してくるかも。食品安全委員会の委員たちは、飼料規制、危険部位除去、検査体制など総合的な観点からの米国のリスク評価をするつもりのようだが――さもなきゃ、リスク評価そのものが不可能――ヘタレな政府サイドはこれをなし崩しに無意味なものにしてしまうかもしれない(関連記事1関連記事2関連記事3)。先の大戦で負けてさえいなければとちょっぴりマジで思っちゃうぞ。

とにかく、元検査官だけでなく、内部告発によって失職など圧力を受けるかもしれない現役の検査官や、全米食品検査官合同評議会議長までが告発していることを考えると、それだけ、現場の危機感は強いということなんだろう。米国政府の言うことは、やはり信じられない。

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asahi.com によると BSE検査「30カ月以上に」米が引き上げ要求の意見書  米国政府の担当官は12日都内で会見し、牛海綿状脳症(BSE)の検査対象を生後30カ月齢以上に引き上げるよう求める意見書を食品安全委員会に提出したことを明らかにした。30カ月齢未... 続きを読む

コメント(2)

TB記事にコメントいただき、ありがとうございます。
冗談ぽく書きましたが、日本政府の意見募集に対して、「アメリカ合衆国政府」が意見書を出すということは認められるんでしょうか?なんだかおかしいと思うんですが、どうなんでしょうか?
どのマスコミも書いていないんですが・・・

n_ayadaさん、お返事遅くなりましたが、コメントありがとうございます。

食品安全基本法の第十三条(情報及び意見の交換の促進)は、こうなっているんですよね。

食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たっては、当該施策の策定に国民の意見を反映し、並びにその過程の公正性及び透明性を確保するため、当該施策に関する情報の提供、当該施策について意見を述べる機会の付与その他の関係者相互間の情報及び意見の交換の促進を図るために必要な措置が講じられなければならない。

後半にある「関係者」というのを、国民に限るのかどうかがポイントなんでしょうね。法文には関係者の定義はありませんし、外国政府も可、とも読めなくもない。

でも、これって、単なる「内政干渉」という気もしちゃいますよね。アメリカの法律や政策に、他国がコメントしたらアメリカはどうするんでしょうね。アメリカにとっては、

 アメリカの主権 = アメリカのもの
 他国の主権 = やっぱりアメリカのもの

というジャイアン意識なのかもしれませんが。事実、毎年アメリカ政府は、「規制改革要望書」http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-j20041020-50.htmlみたいなものを平気で出してきて、内政干渉してくる国ですし。関岡英之著『拒否できない日本―アメリカの日本改造が進んでいる』(文春新書)によれば、日本の改革というものの青写真はみんなこれに書かれているそうです。

ちなみに、この要望書と並んで日本への内政干渉のツールである『外国貿易障壁報告書』に対する日本政府からのコメントはなかなか面白いです。ちょうど今年の分が今日発表されていますが(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/keizai/ustr/pdfs/05_comment_j.pdf)、最初の「総論」のところでこんなことを言ってます。


また、日本政府がこれまで主体的に取り組み、実現してきた各種改革・改善措置が、あたかも米国政府との国際合意によって実現したかのような記載が随所に見られる。現在、日米両政府は、各々自身の問題として規制改革に取り組んでおり、日米規制改革及び競争政策イニシアティブ(以下「規制改革イニシアティブ」という。)をはじめとする対話の場における意見交換は両国の施策に有益な示唆を与えている。このような建設的な関係を継続・発展させるためにも、日本の措置が政府間交渉の直接の結果であるかのような記載は改めるよう求めたい。


過去のものを見ると、毎年同じことを言ってるみたいですが、日本を属国扱いする米国に対する主権意識の表明なのか、それとも実際属国(アメリカの言いなり)なのだけど、国内的にイメージが悪いから、という理由でのポーズなのかは分りませんが、意外に言うべきことは言ってる感じです。

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このブログ記事について

このページは、hirakawaが2005年4月13日 04:03に書いたブログ記事です。

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