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もうダメぽ―米産牛肉輸入再開、月齢判別法は除外

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もう完全にヘタってるね。今朝のニュースの続き。

米産牛肉輸入再開、月齢判別法は除外
政府が、米国産牛肉の輸入再開条件に関し、食品安全委員会に諮問する事項から、最大の懸案と見られていた肉質で牛の月齢をどう正確に判定するかや、BSE(牛海綿状脳症)感染源となる肉骨粉の混入防止策などが除外される見通しであることが18日、明らかになった。・・・
 諮問は5月にも行われる予定だが、諮問内容は、「特定危険部位が除去された、生後20か月以内の米国産牛肉」の危険性の判断に限定される見通し。肉質による月齢判別や、安全性を判断するデータ収集などは、安全委の頭越しに「政府間交渉で決める」(関係者)こととする。消費者との意見交換会を短期間に開催するなど、安全委の審議日程や手続きの促進も図ることで、早期再開を求める米国の圧力を和らげたい考えだ。(読売新聞) - 3月18日14時33分更新

これで出てくる食安委のリスク評価の数字は、完全に信用のおけない架空の数字になるのはほぼ確実になった。なんだか食品安全委員会、だんだん道路公団民営化委員会みたいになってきたな。委員や事務局で真面目にやってる人たち、可哀相になってきた。

飼料管理の検討が除外されるのは、すでに予想された範囲だけど、月齢確認まで除外とは・・。危険部位除去の実態に関しても、きっと今朝のエントリーで引用した島村農相の答弁のように、「米国政府が大丈夫といってるから大丈夫」ということで片付けられるに違いない。

ちなみに今朝のエントリーでは、小泉首相をはじめ、政府の態度は、一方では「科学的にやります」、「時期を示したり結論を先取りすることはできない」と、ツッパりつつ、他方では島村農相の答弁のようなヘタレをやってて、どこに真意があるかよくわからないと書いたが、これでようやく見えてきた気がする。要するに、ツッパった態度はただの国内向けのパフォーマンスでしかなく、日米交渉の場は完全に「アメリカ様の言うとおり」ということなのだろう。「実を捨てて名をとる」コイズミ政権ならではのいつものパターンか。(ま、アメリカ相手では、コイズミ政権に限った話ではないかもしれないが。)

<追記>
18日の東京新聞に、食品安全委員会プリオン専門調査会の吉川泰弘座長のインタヴューが出ている。

米牛肉で外圧 どうする食品安全委 ─ (東京新聞) 核心

この中で、米国牛のリスク評価の進め方や問題点について述べられている部分があるので、引用しておく(強調筆者)。

――今後、輸入条件も諮問されるが。
 「米国のデータ不足は頭が痛いどれくらい米国に(潜在的な)BSE感染牛がいて、飼料規制などの効果はどの程度か、食肉処理、脳など危険部位の除去は適切か、などから消費者のリスクがどの程度かを評価する。ただ、米国のBSE検査頭数は日本に比べて圧倒的に少なく、そこが評価上のネックになるかもしれない」
 ――米国は「感染例はカナダから輸入した一頭だ」と強調している。
 「その点はリスク評価では重要でない。過去、現在、将来のBSE汚染シナリオを描き、施策の有効性をどう評価するかが重要だ。評価はあくまで評価。政府間の主張の違い、国際関係上の損得はリスク管理者である国が考えることだ。そういう問題から切り離されているからこそ、食品安全委の存在理由がある」

ここにあるように、委員会のほうでは、リスク評価には、

  • 感染状況の把握
  • 飼料規制の効果
  • 危険部位の除去

が必要だとしているわけだが、これらのうち政府は、飼料規制については問わないとしている。また、感染状況の把握にはより大きなサンプル数の検査が必要のようだが、これも米国は徹底して拒むだろう。危険部位除去の実態についても、上にも書いたように米国の言うことを鵜呑みするだけに終わるに違いない。

こんなことでは、絶対にリスク評価なんかできるわけがない。もしも政府が、今日の報道の通り、これらのデータ入手なしに「特定危険部位が除去された、生後20か月以内の米国産牛肉がBSEに感染している確率」を求めてくれ、なんて本当に言ってきた時には、吉川座長以下、委員の先生方には、科学者として、「ふざけるな!」と一喝して、ぜひ席を蹴って部屋を出て行ってほしい。このままでは、本当に食品安全委員会の存在意義がなくなってしまう。

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さて、アメリカからの牛肉輸入問題。こちらでずーっと取り上げてきたので、いまさら後には引けないので、継続的に追っかけることにしましょう。 さて、前々からアメリカ議会に出すぞーと「脅し」が来ていた牛肉禁輸に対する「対日経済制裁」決議案ですが、3日の下院議... 続きを読む

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このページは、hirakawaが2005年3月18日 20:44に書いたブログ記事です。

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