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BSE―NOいえた小泉首相の続報

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先日のエントリー「日米BSE問題―NOといえた小泉首相」の話ですが、その後こんな記事もみつけた。

牛肉輸入の政治決断迫る 日米首脳会談で補佐官
・・・
 同行筋によると、発言したのはライス大統領補佐官。BSE問題に関する小泉純一郎首相とブッシュ大統領のやりとりが一段落したところで、「あなたたちは科学的な協議(の問題)だと言うが、トップダウンで決める政治的意思が必要だ」と求めた。これに対し、日本側は首相を含め特に反論せず、しばらくの沈黙の後、次の話題に移ったという。
・・・(共同通信) - 9月29日19時16分更新

えーと??一昨日のNHKニュースなどでは、「首相は『輸入再開は科学的に判断されるべき』ときっぱりと断った」とカッコよく伝えていたのだけど、こっちの記事は「黙ってスル~」(あるいは「聞こえないふり」?)となってる。パフォーマンスばかりを繰り返すばかりの首相と、またそれを誇大広告するマスコミのいつもの共犯関係――とくに今回、最初に流れたニュースはNHKからだったし――「実際は共同通信の方?」とついつい勘ぐりたくなるが、真相はどうだったんだろう?

それはまぁどっちでもいいんだが、ちょっと気になりはじめていることがある。それは、「聞こえない振りしてスル~」であれ、きっぱりNO!であれ、どうして小泉首相(あるいは外務省?)は、ブッシュ政権の「政治決断要求」を拒否できたのか、消費者の健康保護だけがその理由だろうか、ということだ。

うがった見方をすると、科学的な証拠や議論の重要性を政治の場面で訴える時というのは、科学以外の別の理由――何らかの社会的・産業的利害――を覆い隠すためであることが多い。より直截に言えば、対立する双方の陣営の社会的利害を守り、相手を責める「剣」として、「科学的に証明してみろよゴルァ」が使われる。そのとき科学は、ぶつかりあう利害の泥臭さを脱臭し漂白する消臭剤や漂白剤の役割を果たす。

同様に、現在では「消費者の健康保護」というのも、それ以外の産業上の利害を隠すベールとして機能する。

それで考えるのは、いずれにせよ、そうした何らかの社会的・産業的利害の保護という隠された目的があるから、小泉首相も強気だったのではないかということだ。

もちろん、だからといってそれが悪いといいたいわけではない。むしろ、政府(具体的にはリスク管理機関である農水省と厚労省)としては、消費者保護を第一としつつも、それ以外の利害との調整をすることがお仕事であると考えるべきだろう。

そこでさらに思うのは、そうした裏に隠された利害間の調整はどうなっているのかということだ。具体的には、生産者(畜産農家)や精肉業界、焼肉、牛丼、ファミレスなど外食産業の利害。これらは産業利害と一口にいっても一枚岩ではない。畜産農家は消費者団体と同じく、全頭検査緩和や輸入解禁に反対しているようだが、外食産業は早期解禁を求めている。畜産農家としては、全頭検査が緩和されたり、ましてや輸入解禁で消費者が疑わしく思ってる米国牛が市場に入ってくれば、国内牛の消費まで影響を受けるかもしれないと考えているのかもしれない。まぁ、消費落ち込みは外食産業も気にすることなのだろうが、今のところは早期再開を求める立場を固め、消費者団体などと真っ向から対立している。また、同じ業界といえども、経営規模や米国牛依存度の違いなどによって意見はさまざまかもしれない。今のところ政府の公式見解は、消費者の健康保護(そしてhidden agendaとして生産者保護?)の側に立ち、外食産業には我慢してもらう形になっているが、それら対立する利害の落としどころをリスク管理機関がどういう方向で考えているのか、もう少し情報が出てくるといいのだけど。。

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このページは、hirakawaが2004年10月 1日 02:10に書いたブログ記事です。

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