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核燃料サイクルやっぱり国民負担?(追記6/20)

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ここでも何度かとりあげた「核燃料サイクル」の続報。

原発後処理費用世帯負担、実質年1660円 新制度骨格
 原子力発電所の使用済み核燃料の再処理など、後処理費用の負担について、新制度の骨格が18日の総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の電気事業分科会で決まった。徴収期間を約30年とした場合、後処理費用に絡む1世帯の新たな平均負担額は実質年約1660円となる。

ポイントは記事の最後のところだろう。

・・・ただ、今回の議論の土台となった18.8兆円は、使用済み核燃料の約半分を数十年間「中間貯蔵」するのが前提で、貯蔵終了後の費用は含まれていない。最終的な「原発のごみ」の処分全体にかかるコストはより大きく膨らむのは確実だ。

長年「原発は安い」といいつづけてきたことのウソがどんどんばれていく。テレ朝の報道ステーションでも報道されていたが、そのなかで電機事業連合の会長さん(?)が「核燃料サイクルの実施はわれわれの責務です」なんていっていた。「本気ですか?」と思った。コスト増で第一に困るのは電力会社のはずだが、国民負担にしちゃうからオケーですか?

ちなみに、与党の中で核燃料サイクル見直し派の筆頭に立つ自民党・河野太郎氏は、自身のメルマ「ごまめの歯ぎしり」5月20日号で、推進派の議員たちとのやりとりについて、「朝のエネルギー調査会は再処理について議論がかみ合わない。再処理を進めろという議員は、中国のエネルギー需要が、とか資源のない日本の将来は原子力だとか言うばかりで、具体的な話はない。一方、再処理凍結派は具体的な話をするからかみ合わない」と述べていて面白い。

こういう不合理な話がいつまでも続くのは、「単にやめないからやめられない」という公共事業一般に見られる制度的慣性や、利権ゆえの部分も大きいと思われるが、こと核燃料に関しては、やはり「日本も普通の国=核武装したいよ~ん」という政治家たちの「野望」の存在は無視できないだろう。日本の原子力導入で中心的役割を果たした政治家は中曽根元首相だが、そんな彼について共同通信が興味深い話を報じている。

70年に核武装の可能性検討 中曽根氏が自著で明かす (2004年06月18日)
中曽根康弘元首相が25日発売予定の自著「自省録-歴史法廷の被告として-」の中で、防衛庁長官だった1970年に日本の核武装の可能性を防衛庁に研究させていた秘話を明らかにした。
 中曽根氏は、核武装について「現実の必要性を離れた試論」として「日本の能力を試算」した過去に言及。「伊藤博文の孫が防衛庁の技官としてこの問題を一番勉強している」と知り、同氏を中心に専門家を集めて核武装に必要な費用や時間の研究を指示した。「当時の金で2000億円、5年以内」で核武装できるが、実験場を確保できないために現実には不可能との結論に達したという。
 中曽根氏は核武装を「これまでも一貫して否定してきていますし、今でも変わりません」と言明する一方で、今後「アメリカが日本のための核防護をやめるようなことになった場合は、話は別です。その時には、日本も核武装の可能性も含めていろいろの可能性を検討しなくてはなりません」との認識を示している。

ところで報道ステーションでは、サイクル見直し派からは自民党の河野太郎氏、元経産省の福島伸享氏、米国メリーランド大のスティーブ・フェッター氏、環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏の四人、推進派からは自民党の甘利明氏の一人がインタヴューで登場していた。(余談だが、福島さんは、小生が臨時委員をしていた経産省の審議会の事務局担当で、次の衆議院選挙で民主党から国会入りを目指してます。:飯田さんはこの3月まで学部の同僚で、ウチの愛犬ハンナと一緒に生まれたレオンという雄犬のパパだったりする。)番組の姿勢としては、見直し派支持というスタンスなわけだ。

その一方で、途中で入ったテロップつきの「リサイクルか、使い捨てか」という二項対立も使われていた。核燃料サイクルを世間受けする「リサイクル」と称し、直接処分(ワンスルー)を「使い捨て」と称するのは、完全に推進派のバイアスのかかったレトリックなのだが、いわゆる「報道のバランス」をとったということだろうか?

なお、今回の決定は、経産省の総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会のものだが、この総合資源エネルギー調査会と、同じく経産省の産業構造審議会からなるエネルギー・環境合同会議や、内閣府の原子力委員会では、見直し論が、経済界からの声も含めて強まっている(参考エントリー)。最初の記事には、「経産省は電気事業分科会の決定をもとに法整備を進め、05年度中に新制度に移行する見通し」とあるが、まだまだ軌道修正の可能性は残っている。

(追記6/20)
上で、エネルギー・環境合同会議では見直し論が出てると書いたが、会議の結論的には推進になってしまったようだ。さきほど知った読売新聞の6月16日の記事「経産相の2諮問機関、核燃サイクル事業推進を提言」によると、同会議は、核燃サイクル事業について、「長期にわたる事業であり、原子力政策を着実に進めていくためにも国民的な理解を得る努力を最大限尽くしていく必要がある」と指摘しているそうだ。

大勢が見直しに傾くには、まだ時期尚早なのだろうか?

あとは内閣府の原子力委員会の議論がどうなるかだな。

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このページは、hirakawaが2004年6月19日 00:50に書いたブログ記事です。

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